日韓関係を壊したのは誰か? 竹島上陸、通貨スワップ終了、告げ口外交…

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文在寅と問題人、韓国語での発音は同じ

 合意から丸一年となる2016年12月28日、釜山の市民団体が日本総領事館前の歩道に慰安婦像を設置。日本政府は慰安婦合意に反するとして撤去を求めた。道路を管理する釜山市東区はすぐに像を撤去したが、30日には一転して設置を許可。日本政府は対抗措置として長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事を一時帰国させた。

 本来は韓国政府が対応すべきところだが、直前の16年12月9日に朴槿恵前大統領が国会の弾劾議決を受けており、首相に相当する黄教安国務総理が代行していた。大統領に権限が集中する韓国で国務総理の権限は限られ、政府は機能不全に陥っていたのだ。

 在韓大使の不在は3か月近く続き、その間、大使館は臨時代理を務める鈴木公使のもと、メール等で長嶺大使の指示を仰ぎながら大使不在の長期化に対応する体制を整えた。当時、筆者は鈴木公使と趣味仲間だったが、会うたびに疲れていく様子が見て取れた。

 17年3月10日、韓国憲法裁判所が朴前大統領の罷免を決め、5月10日、文在寅政権が誕生した。文在寅大統領は、朴槿恵前政権を断罪する流れで慰安婦合意の破棄を掲げたが、それ以外に反日姿勢を見せることはなかった。

 文大統領は7月7日、G20が行われたドイツ・ハンブルクで安倍首相と首脳会談を行い、2009年を最後に中断していた日韓首脳が相互に相手国を訪問するシャトル外交を復活させることで合意するなど雪解けムードが復活した。

 そして、民間交流も活発化した。2017年の訪日韓国人は700万人を超え、訪韓日本人と訪日韓国人の合計は945万人となった。日韓往来1000万人時代が目前に迫ったのだが、文在寅はやはり問題人だった。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月8日掲載

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