韓国…セクハラ・パワハラ大国、何でもちゃぶ台返しの「甲乙問題」とは?

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ナッツ姫も水かけ姫も

 2014年12月に起きたナッツ・リターンも「甲乙」に起因する。韓進グループ会長の長女で大韓航空の副社長だった趙顕娥(チョ・ヒョンア)氏は、米ニューヨークの空港で自社旅客機の客室乗務員のナッツの出し方に腹を立て、滑走路に向かっていた機体を引き返させて客室サービス責任者を降機させた。

 航空法上、乗客にすぎない副社長が飛行機を引き返させる権限はない。大韓航空は機内サービスの責任を担う副社長の指摘を受けて、権限を持つ機長が判断したと言葉を濁した。オーナー家のわがままには黙って従う方が、社員のリスクが小さいからだ。国土部の調査担当は大韓航空の出身者で構成され、また大韓航空は国土部職員の天下り先だ。大韓航空の言い分を鵜呑みにする形式的な調査で終わるはずだったが、事件がSNSで広がると、世論の声を受けた調査委員会は綿密な調査を行って航空保安法上の航空機航路変更などの罪で趙顕娥氏を逮捕・起訴した。

 18年には“ナッツ姫”の実妹の趙顕旻(チョ・ヒョンミン)氏がパワハラ事件を起こした。大韓航空の広告担当専務だった趙顕旻氏は、会議中に自分の質問に対する明確な回答がなかったとして広告代理店の職員に暴言を吐き、水が入ったコップを投げつけた。この“水かけ姫”の事件もSNSで広がり、暴行の疑いで捜査が入った。

 自らを“甲”と考える財閥オーナー家3代目のパワハラは何も大韓航空に限ったことではない。大手企業等の創業者は苦労して会社を大きくし、2代目は親を見て育ったが、3代目は子供の頃から王族のごとくもてなされて傍若無人になりやすい。2017年1月にはハンファ財閥グループ会長の3男が飲み屋で暴力事件を起こして逮捕されている。

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