バーキン床置き騒動の「高嶋りえ子ママ」と志村けんさん“コロナ感染デマ”の関係

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“フェイクニュース”の流布

 デマが拡散する過程で、決定的な役割を果たしたとされているのが「Akira_watanabe1」というアカウントによるツイートだ。現在はアカウントごと削除されている。

 ツイートには次のような文章が、羅列された。《クラブ藤崎 新型コロナ感染者で営業停止との噂は?》、《志村けんが新型コロナに感染》、《銀座ブレアの明日香ママの店に感染報道直前に来店》、《タイガース藤浪選手も陽性》……。

 また写真も投稿されている。中央に志村けんさん、左右に4人の女性が並び、スーツ姿の男性が1人映っているというものだ。

 これをBlairで開かれた誕生日パーティーの決定的証拠と受け止めた読者は、相当数に達したようだ。しかし後述するが、この写真の証拠能力はゼロだ。

「3月30日の時点で、『藤浪投手と志村さんが新型コロナに罹患したのは、クラブ藤崎の関係者が原因』という噂は相当に流布していたと考えられます。実際、志村さんが3月29日に亡くなると、4月1日に夕刊フジが『銀座―北新地の“点と線”』と報じました。時系列としては、ぴったり一致します」(同・記者)

 誤報を打ったのは夕刊フジだけではなかった。ライバル紙の日刊ゲンダイも4月1日、「藤浪ら感染の“阪神合コン”からゾロゾロ出てきた参加者32人の素性」の記事を掲載した。夕刊フジと全く同じミスを犯してしまった部分を引用する。

《北新地にある高級クラブは、東京の歓楽街でも有名だという。ある銀座のスナックのママは、「そこのママさんは、コロナウイルス感染で亡くなった志村けんさんが、2月下旬に銀座のクラブで行った誕生日会にも出席していた」と明かす》

 それでは、この写真が全くのデタラメであることを、「Blair」の唯吹明日香ママに説明してもらおう。

「この写真が悪質なデマであることは、私たちには一目瞭然です。2月22日に六本木で開かれた志村さんの誕生日会を撮影したもので、それをネット上に掲載したのはBlairの男性スタッフだったからです。写真に写ったスーツ姿の男性がスタッフです。そもそも2月23日はBlairの定休日。そして写真にあるような部屋はBlairに存在しませんし、映っている女の子の服装も私服です。つまり『Akira_watanabe1』は、この写真が六本木で撮影されたものであり、Blairとは無関係だと知りながら、意図的に虚偽の情報を撒き散らすために使用したのは明らかです」

 Blairの常連客なら「この写真はおかしい」と気づいても、何も知らない読者は「志村けんさんが映っている写真があるのだから、このツイートは本当だろう」と信じてしまう。

 夕刊フジも日刊ゲンダイも、共に騙された。他にも有象無象のネットメディアが、同じ内容の誤報を配信し続けた。

 しかしながら、その誤報が関係者に与えた影響はあまりにも大きかった。クラブ藤崎の藤崎まり子ママが振り返る。

「そもそも店は新型コロナの感染対策で臨時休業したのであって、営業停止を命令されたわけではありません。店で働いている女の子で、スペインに旅行して新型コロナに感染した者もいません。多分、私たちが店を閉めたのを確認した人物が、『新型コロナが原因だ』と嘘を撒き散らしたのだと思います。実際、店は閉めていますから、信憑性は増してしまう。ネット上でデマが拡散していくと、Instagramのアカウントを経由して誹謗中傷のDMが殺到し、私のスマートフォンはパンクしました」

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