相次ぐ「百貨店」店員の新型コロナ感染 主要店、今月だけで23件報告

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 7月16日、株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、伊勢丹新宿本店で後方部門の従業員が新型コロナウイルスに感染していたと発表した。同店では15日、14日、11日にも感染者の発生が公表されている。「夜の街」ばかりが注目されるコロナ感染だが、百貨店での感染報告も相次いでいるのだ。

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 現場から漏れ伝わってくる悲鳴を、業界誌記者はこう伝える。

「ある有名化粧品ブランドの方は“7月に入ってほぼ毎日、テナントとして入っているお店でコロナの感染が報告されていて大変なんです”と言っていました。ショッピングモールなどの商業施設も含めた話なので、百貨店に限った話ではないのですが、とはいえ百貨店の感染者は少なくないみたいですね。現場の人間は、そうとう苦労しているようです。たとえ感染者が化粧品売り場の従業員でなくても、濃厚接触が疑われた場合には、PCRを含めた検査の対象になるケースがあるみたいですから」

 掲載の表は、東京都内に店舗を構える主な百貨店での感染者をまとめたものである。「百貨店」ではなく「駅ビル」や「商業施設」に分類される施設のケースも一部取り上げた。

「伊勢丹・三越」「阪急百貨店」「東急百貨店」「そごう・西武」「松屋」「東武百貨店」は、感染者発生を伝えるリリースをホームページ上に記載しており、この6社は、その数字に基づいている。過去分がHP上で参照できない「高島屋」には電話取材で回答をもらい、同じく過去分が参照できない「大丸松坂屋」は「公表するつもりはない」(広報)とのことだったので、過去の報道に基づき独自で計上した。

 感染者の発生は、足を運ぶ客の多い食料品や化粧品のフロアで目立つ。7月16日17時時点での7月の感染報告は23例あった。なお百貨店ごとに展開する店舗数や店舗の規模が異なるため、報告数の多少が百貨店の防止策の評価につながるわけではないので、留意されたい。

 百貨店としては9名の感染者が出た高島屋に聞くと、

「従業員の手洗いやアルコール消毒を含めた感染防止策に努めています。感染者が発生した店舗につきましては、所轄の保健所の指導と見解に基づき、閉店を早めての消毒作業などの対応を行っております」(広報)

 2件が確認された松屋は、

「15日に陽性が確認された従業員は、8日から勤務しておりませんでした。PCR検査の結果が出たのは15日でしたが“味覚がおかしい”という連絡を受けていたので、店舗は14日の閉店後に消毒作業を行っております。店舗の入り口と出口を分ける、入店されるお客様の体温をサーモグラフィで確認するなどの対応を行うほか、マスク未着用の場合には着用をお願いし、お持ちでない場合には1枚50円でご購入いただいています。マスク代金は医療関係者へ寄付させていただいているのですが、皆さま、快く購入に応じてくださいますよ」(広報)

 休業要請によって、ただでさえ苦しい状況に追い込まれていた百貨店業界。試練の日々はつづく――。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月17日掲載

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