コロナ感染者、東京都よりはるかに情報公開している足立区 247人のデータから見えるもの

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積極開示の意義は?

 7月12日午後3時半すぎ、AbemaTVのニュースサイト「ABEMA TIMES」は「東京都で新たに206人の感染確認 4日連続で200人超え 20代、30代が7割」の記事を配信した。

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 日曜の昼下がりということもあり、「206人」という感染者数にツイッターで言及した人も少なくなかったようだ。いくつかを引用させていただく。

《今日も206人か…日曜日でこの数字。来月はとんでもない数になるな…》

《今日の感染者数は206人か、緊急事態宣言はよ》

《換気のよい夏のこの時期に増えている。想像以上に増加しているのでは》(註:改行を省略した)

 東京都は公式サイトに、区市町村別の感染者数を発表している。ベスト10を表にしてみたので、ご覧いただきたい(註:7月10日現在の累計値)。

 やはりと言うべきか、新宿区が図抜けている。新宿と言えば歌舞伎町。テレビのニュース・情報番組を中心に強い関心が集まっているが、そうした現状が数字でも裏付けられたわけだ。

 ならば新宿区は、こうした状況を、どう広報しているのだろうか。公式サイトを閲覧すると、まず赤字で書かれた《特別定額給付金について(別ページへ移動)》という文字が目に入る。

 一方、特別定額給付金に負けず劣らず関心があるはずの《区内感染の公表について》は、保育施設や特別養護老人ホームで発生したクラスター感染の状況を公表しているに過ぎない。

 要するに、新宿区の居住者など、新型コロナウイルスに感染した1056人のリアルな状況を伝える資料は何もないと言っていい。

 世田谷区も公式サイトで感染者数を発表している。7月14日現在、陽性者の累計は624人に達し、退院や療養期間を経過した患者数は507人、そして亡くなった方は18人にのぼったことが分かる。

 だが、根本は新宿区と変わらない。中野区も似たようなものだ。ならば東京23区のうち、詳細な公表を心がけている自治体は、どこになるのだろうか。

 23区の中で、かなり努力している1つが、足立区だ。上でご覧いただいた7月10日現在の表には顔を出していないが、累計感染者数は213人で13位。これは東京都における累計感染者のうち約3%を占める。

 足立区の公式サイトを見てみると、最初にリンク先が紹介されているのは《毎日更新》と明記された《区内での新型コロナウイルス感染症患者の発生状況》だ。

 クリックすると、感染者に番号が付いているのが目に飛び込む。7月14日現在、リストのトップに表示されているのは《264》だ。

 項目を見ると、《診断日》は《7月13日》、《居住地》は《区内》となっている。もし《区外》だった場合は、勤務先や学校などが区内にあるということを意味している。

 年齢は40代で、性別は男性。症状は《発熱》と書かれている。《回復・死亡》という欄もあるが、ここは空欄だ。

 もうお分かりだと思うが、感染者に関する情報は――あくまでもプライバシーに配慮しながら――しっかりと公開されているのだ。

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