波紋を呼ぶ「京都」舞妓の新型コロナ感染 門川市長は知っていた

国内 社会 2020年7月15日掲載

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 7月7日、京都花街の置屋などが所属する祇園新地甲部組合は、舞妓2人が新型コロナウイルスに感染していたと発表した。京都市は6月27日に「無職の10代女性」が感染したと発表していたが、実はこの女性が件の舞妓だった。組合の発表までには1週間以上を要したことになり、その対応の遅さには批判の声が上がる。

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 4月7日の緊急事態宣言発出から営業自粛していた京都五花街は、6月1日より再開している。客同士や芸舞妓との間に間隔をあけるといった「感染拡大防止のガイドライン」を設定してはいるものの、客の求めに応じてのお座敷遊びや杯の回し飲みなどは依然として行われ、ガイドラインは守られていないのが実情だ(前回記事「京都『祇園』の舞妓2人がコロナ陽性 遅れた公表、関係者は『ホストクラブよりあかん』」参照)。

 現役の舞妓が、匿名を条件に改めて次のように語る。

「回し飲みなどは、極端なことを言えば生き死にに関わりますし、もちろん怖いのですが、お母さん(置屋の女将)から『白い状態でマスクするのはアカン』と言われていることに、危機感を覚えています。舞妓のイメージを守りたいのでしょう、白塗りをした状態でマスクをつけてはダメだというのです。もちろん、お客さんの前でもマスクはできません。4月に、先斗町の芸舞妓が縫ったマスクを門川さん(大作・京都市長)に手渡ししてましたけれど、当の芸舞妓たちはマスクすらつけられないわけです」

 市が「無職女性」と発表した翌日28日、組合は組合員に向けて“組合員(舞妓)2名が陽性になった”旨の通達文書を配布していた。前回記事で証言した関係者は、現在の組合の対応についてこう話す。

「舞妓の感染が公になった後、組合から“コロナの感染経路として特定のお茶屋の名前が噂になっていますが、根も葉もない話はやめましょう”という主旨の話がありました。前回は『舞妓2人が感染した』と文書で組合員に配ったことで、マスコミに漏れてしまったと考えたのでしょう。今回は文書が出回らないよう、お達しの紙を持った組合の人間が、一軒一軒、組合員を回ってそれを“見せて”いるんです。誰が話を外部に漏らしたのか、皆さん疑心暗鬼になっていますね。ただ一部で報じられたような、花街の営業推進派と自粛派が対立しているような話では、決してありません。私たちが問題にしているのは、事実を隠蔽しようとする対応です。花街としては一丸となってコロナを乗り切りたいと思っています」

 舞妓の陽性が公にされなかった背景には、ようやく再開した営業に水を差しかねないという懸念、さらには世界に誇る花街のイメージダウンにつながりかねないとの心配もあったのかもしれない。だが、まずはコロナに感染した舞妓たちのことを第一に考えるべきだと、この関係者は憤る。

「『感染した2人はすでに退院し、実家に帰っている』と報じられていますよね。これはもう、事実上クビになっているということなんです。言うまでもなく、感染した彼女たちに責任はありません。ガイドラインを守らずに働かせていた置屋やお茶屋に問題があります。すでに祇園界隈では2人がどこの置屋の誰かは特定されていますから、お茶屋は、彼女たちを呼ぼうとしないでしょう。仮にコロナのワクチンができたとしても、その頃には10代ではなくなっていますから、舞妓はできません。所属する置屋も“迷惑をかけられた”という意識でしょうから、戻ることは許さないでしょうね。ならば置屋を移ればと思われるかもしれませんが、それは祇園の仁義ということもあって、できないのです。そもそも、お2人の親御さんからしてみれば、こんな対応の祇園には、もう預けられないと思っているかもしれませんけれどね。仁義とかウイルスとか、目に見えないものに、彼女たちの人生は壊されてしまいましたよ」

門川市長は知っていた?

 組合は、2人の感染経路が分かっていないとも説明している。一方、真偽は不明ながら、陽性の舞妓の1人がお茶屋に呼ばれたのは、6月1日の営業再開から陽性発覚までの間に3度との証言もある。それぞれ別のお茶屋だそうだ。もう1人の舞妓はその場には同席していないともいう。ならば、寝起きを共にする置屋で感染が起きた可能性が高い。

 さらには、こんな話も祇園界隈で囁かれている――京都市が「10代の無職女性2名」と発表する6月27日より前の時点で、門川大作・京都市長(69)は感染者が舞妓だと把握していたというのだ。

「昔から馴染みのあるお茶屋や置屋の女将が、門川さんから電話をもらい『あそこの〇〇ちゃん、陽性や』と教えてもらったというのです。これが本当であれば、行政ぐるみで隠していたということになりますよね」(祇園関係者)

 この情報を京都市に質すと「そのような電話をした事実はない」と答えたうえで、「無職」とされた女性2人が舞妓であることは、市長も知っていたと認めた。

「2人の陽性が発表された6月27日のその日に、それが舞妓だと市長に報告があったとのことです。報告の形は、LINE WORKS(ビジネスチャット)、直接の電話、対面など様々なので、舞妓の件がどのような形で報告されたのかはわかりません。件数があまりにも多いので……」(広報)

 何はともあれ、コロナに感染した2人の舞妓が、無事に仕事復帰できることを祈るばかりだ。

週刊新潮WEB取材班