地方の風俗はどう変わったか? コロナ前・最中・後とで…現場リポート

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いわゆる「裏引き」の流行

 そういった需要と供給に著しい偏りがあるとはいえ、せっかく客が戻っているのにどうして信用を落とすような真似をするのか。梅毒感染者の発生を機に店を辞めた女性は、自粛期間中から20歳の“素人”になったり30歳の“人妻”になったりと差し替えで他店の在籍嬢として派遣されていた。実年齢は20代の半ばである。

 店長らは「稼げる時に稼いでおかないと、いつコロナの第2波で店が営業できなくなるか分からない」と言っていたという。店側も緊急事態宣言の影響で売上が激減し、給付金というあぶく銭が入った今こそ損失を補填するチャンスと見ているのだろう。ただ、梅毒の感染者が出たことについてはかん口令を敷き、嬢の差し替えなどを日常的に行う、いわば客を騙すような商売のやり方が長続きするとは思えない。

 店側が目先の金に追われている一方、働く女性たちも違う稼ぎ方を模索し始めたようだ。秋田市内の風俗店をよく利用していた40代の男性は現在、数人の風俗嬢たちと店を介在せず金銭のやり取りをしている。いわゆる裏引きだ。きっかけは緊急事態宣言下に風俗嬢を呼んだ際、客の質が最悪だと愚痴っていたことだという。

「危ない客ばかりで気が滅入るというので、『じゃあ、少し多めに払うから直接会おう』と持ち掛けたら簡単に応じてくれました。コロナ前なら黙殺されたのでしょうが、よほど酷い客が多かったのでしょうね」と話す。

 給付金の一時的なバブルに湧き、急速に信用を落とす店と個人営業を活発化させる嬢たち。そして顕在化した危ない客と危険な性病。そういう場所であり、そういう仕事だとみな頭では分かっていても、ここまで露見してしまった今、地方の風俗というものはコロナ前と同じように続けていけるものだろうか。

畑中雄也(はたなか・ゆうや)
1980年生まれ。出版社、新聞社勤務を経て現在は食品製造業を経営。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月6日掲載

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