地方の風俗はどう変わったか? コロナ前・最中・後とで…現場リポート

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取り分はパート代程度だからバイトに…

 若い出稼ぎ組や短期の兼業風俗嬢は、通常なら即座にNGにする痛客(非常に不愉快、非常識な客)であっても仕方なくではあるが、彼らを相手にギリギリ稼ぐことができた。著しく生活が苦しくなったのは人妻や熟女系のベテラン風俗嬢たちである。緊急事態宣言の中、出勤していた40代のデリヘル嬢は当時の状況をこう説明する。

「たまに若い子が泣いて待機室に戻ってくるんです。そういう時に私たちのような指名のない人間が『代わりに行って』と派遣されるんです。いつもならNGどころか店の男性スタッフが注意しに行くのですが、あの時期に風俗へ来る客なんて危ないのしかいません。店側もそれを分かっていながら、客がいないから背に腹は代えられず、何も言わないんですよ」

 本番強要は当たり前。シャワーを浴びようとしない客、盗撮をしようとする客、何らかの薬物を摂取し明らかに目付きのおかしい客……半日近く鳴らない電話を待機所で待ち、若い風俗嬢が逃げ出すような客がようやく相手につく。店と風俗嬢の取り分は4対6で、そこから諸経費を引かれて手取りは1万円を切る。「体を売ってパート代程度です。今はスーパーの売上が伸びているとテレビで見たのでスーパーのパートに応募するつもりです」と、先の40代のデリヘル嬢は力なく笑った。

 5月25日に緊急事態宣言が解除されると、自粛の反動か利用客は一気に戻ってきた。県内では特別定額給付金が支給され始めたことも追い風となり、予約の電話がひっきりなしに鳴っていると業界は嬉しい悲鳴を上げている。しかし、それに冷や水を浴びせるように複数の店舗で梅毒の感染者が出た。

 秋田県の発表する統計によると、年初から6月21日までの梅毒感染者数は27人。21~28日までの間にも3人の感染者が判明している。全国的に見れば大した数ではないが、秋田県の2018年の梅毒感染者数は16人であり、6月末の時点で約2倍も感染者が増加している。ちなみに、他の性病はほぼ横ばいだ。

 県内のデリヘル業者は「出稼ぎ組と、通常なら出禁になる客に利用させたことで感染が広まったのではないか」と推測する。あるデリヘル店では20代後半と30代の風俗嬢が感染し、店を去った。そのうちの1人は周囲に「明らかに病気を持ってそうな客だったが、次に客が来るか分からずそのまま受け入れてしまった」と話しているという。梅毒の潜伏期間は3~6週間なので発病から逆算すると、ちょうど緊急事態宣言の解除後だ。

 緊急事態宣言の解除後、県内では特別定額給付金の振り込みが始まり、週末のみならず平日の昼でも若い風俗嬢は予約ですぐさま埋まってしまう状況となった。しかし……。

「飲み屋で酔っぱらった勢いで電話するライトユーザーはそれなりにいたのに、今では酒を飲んでもすぐ家に帰るためそういった層は確かに減りました」と、デリヘル店の店員。電話はひっきりなしでも、指名されるのは20代前半まで。それ以上の年齢だとほぼ客が付かないという。

「これまでも18歳から20代前半が人気でしたが、20代半ば以上の嬢にも客はついていました。主な利用客は中高年ですからね。若い方がいいけれど自分と年齢は幾らか近い方が話しやすいとか落ち着けるとか、そういう理由で指名がありました。しかし、今ではそういった層の需要は激減しています。コロナもあって、より欲望に忠実になったということなんでしょうか。1日に1人客がつけばいい方です」

 若い出稼ぎ組を派遣しようにも、既に皆店を去っている。実際の在籍数とホームページに記載している数とでは大分隔たりがある。需要に対して在籍はその半分ほどで、自粛期間中とは打って変わり、需要の伸びに人員が追い付いていない。そんな状況だから、辞めた風俗嬢などの写真を使い回し、人数だけは揃っているように見せかけている店が少なくない。

「お互いの店から空いている嬢を回してもらって何とかやりくりしています。紹介文にはEカップと書いている嬢の差し替えで、Bカップの嬢を送る程度は日常茶飯事ですよ」

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