巨人、期待の新戦力「湯浅大」の健大高崎時代、67試合で盗塁68という韋駄天

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実は開幕戦でも勝利に貢献

 だがチームは2年連続でまたも宿敵・前橋育英の前に4-6で涙を飲み、最後の夏を甲子園出場という形で飾ることは叶わなかったのであった。

 湯浅の甲子園出場は3年間で1回のみ。しかもケガのため、満足にプレーすることができなかった。

 それでもプロのスカウトは走・攻・守3拍子揃った好選手と評価、一躍ドラフト指名候補選手となったのである。中でも実際に指名した読売のスカウトの1人は、湯浅をこう評していた。

 いわく「守備範囲が広く、フットワークが良く安定したスローイングで打者走者をアウトに仕留めるなど、脚力を活かした守備力が特徴です。ベースワークも上手く、積極的な走塁も魅力ですね。リーダーシップがあり、チームを盛り上げる存在の選手でもあります」

 特に出塁すれば、すかさず盗塁する姿勢が高くされた。例えば高2の秋は公式戦と練習試合を合わせた全67試合で68盗塁(公式戦では8試合で8盗塁)を決めたほどである。

 さて、念願の開幕1軍を勝ち取った湯浅は、6月19日に東京ドームで行われた開幕戦、対阪神タイガース戦で記念すべきプロ初出場と初打席を記録している。

 1-2と1点を追う7回裏。この回、読売は1死2塁から1番・吉川尚輝がライトスタンドへ鮮やかな逆転2ランを放ち、3-2と試合をひっくり返すことに成功する。

 そして、そのまま逃げ切って勝利したが、この吉川の逆転弾をお膳立てしたのが、湯浅である。

 先頭の代打・石川慎吾が右前打で出塁した無死1塁の場面だった。ここで9番・先発投手の菅野智之の代打として登場し、見事に送りバントを成させたのである。

 プロ初打席でかなり緊張する場面での起用であったが、それを感じさせない仕事ぶりだった。

 その翌日には、自慢の快足でチームの勝利に貢献している。3-1とリードした7回裏無死1、3塁の場面で1塁代走に起用されると、小川一平―原口文仁の阪神バッテリーから二塁盗塁に成功し、プロ初盗塁を記録したのだ。

 この直後に追加点となる2番・坂本勇人の左前適時打が飛び出しただけに、この盗塁成功は大きかった。

 ところが、1番・セカンドで記念すべきプロ初の先発出場を果たした6月21日の阪神戦では2打席連続空振りの三振を喫してしまう。

 そのあとの広島東洋カープとの試合でも、2打席ノーヒット1三振と、そのバットから快音は聞かれず、わずか開幕5試合で屈辱の2軍落ちである。

 あまりにも早すぎる原辰徳監督の決断であった。だが、溢れるセンスと才能、そして素質の持ち主だけに、ファームで揉まれてさらに力をつけて、1軍に戻ってくるはずだ。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月4日掲載

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