検察人事…「林次期検事総長」誕生で、その次は誰か

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38期の赤レンガ派

 そして黒川氏が63歳を迎える直前の今年1月、政府は従来の法解釈を変更し、その定年を半年間延長した。

 政治部デスクによると、

「官邸が気脈を通ずるとされる黒川さんを、稲田さんの後任に据えようというハラは誰の目にも明らかだと報じられました。それでも政府高官らは意に介さないスタンスでしたね。ただ、それから、検事長ら幹部の定年を内閣の判断で延長できる検察庁法の改正案が国会で審議されるに至り、雲行きが怪しくなりました。世間はその改正は改悪だというわけです。検察の独立性への異議申し立て、黒川さんの定年を延長したのは政府にとって後ろめたいからだといった批判が大きくなった。ワイドショーでも取り上げられる中、《賭けマージャン》報道が出て、万事休すとなったわけです」

 黒川氏が辞職し、一転して非常時となった検察としては、今年7月30日に63歳を迎える林氏を東京高検検事長に据える以外に選択肢はなかった。と同時に、7月中に稲田氏が退任して林氏が総長に就くことも確定的となった。

 では、今後の人事について、先の司法記者に展望してもらうと、

「林さんの後には堺さん(徹・最高検次長検事/司法修習36期)が就くのではと言われています。ただ、堺さんが総長になるかと言うとそれはない。法務省次官の辻さんが一旦、どこかの高検検事長をやって、林さんの後の総長になる見込みです」

「辻さんは司法修習38期で、総長の登竜門とされる法務省の人事課長などを務め、その後は官房長、刑事局長、次官と歴任しています。稲田さんを説得できなかったのは優柔不断だとか、法解釈を変更してまで定年延長することに積極的ではなかったとか、面白みに欠けるが筋は通っているなどといった指摘はあるものの、人当たりはよく、能吏だと思います。法務検察の世界では、特捜に長くいて捜査のことに精通するタイプか法務官僚タイプ(通称・赤レンガ派)かという区別をよくしますが、典型的な赤レンガ派。優秀な特捜検事でも法務官僚の水が馴染まない人は多いが、法務官僚として出世した人なら特捜検事として十分にやっていけるというのはよく聞く話ですから、正真正銘のエースであることは間違いありません」

週刊新潮WEB取材班

2020年7月1日掲載

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