大戸屋に買収仕掛けたコロワイドが株主総会で“敵前逃亡”と言われたワケ

ビジネス 企業・業界 2020年6月29日掲載

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 6月25日に開催された、大戸屋ホールディングス(HD)の株主総会では、筆頭株主となった外食大手のコロワイドが、取締役を送り込むことで大戸屋HDの連結子会社化を見据えていた。ところが、コロワイド側から、出席したのはたった1人。株主提案の説明もなく、賛同の拍手すらしなかった。提案しておきながら、賛成しない――いわば前代未聞の敵前逃亡だろう。

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 定食チェーン「大戸屋」を運営する大戸屋HD買収を目論み、コロワイドが筆頭株主となった経緯については、デイリー新潮でも「『コロワイド』の『大戸屋』買収計画 コロワイド社長の発言が大戸屋ファンを失望させた訳」(5月4日配信)、「『大戸屋』従業員が株主提案のコロワイドに激怒 社員を『アホ』と呼ぶ問題発言の数々」(6月15日配信)で報じてきた。

 コロワイドという社名に聞き覚えのない方でも、「手作り居酒屋 甘太郎」や「牛角」、「かっぱ寿司」、「ステーキ宮」、「フレッシュネスバーガー」……といった外食チェーンの運営会社といえば、お分かりになるだろう。同社は、買収に次ぐ買収で、国内2700店舗を展開。売上高2400億円(19年3月期)は業界4位という外食大手だ。

 この会社が次に目を付けたのが大戸屋だった。創業者の遺族から株を買い取り、筆頭株主に上り詰め、株主提案を提出していた。それが大戸屋の取締役会の刷新であり、過半数をコロワイド側の人選で占めるという戦略だった。そのうちの1人には、創業者の息子・三森智仁氏も入っていた。事情通は言う。

「コロワイドの野尻公平社長は、同社のセントラルキッチンを大戸屋も活用すれば効率化できると主張してきました。しかし、大戸屋は店内調理を信条としてきた定食チェーンですから、考え方が合うわけがなかった。そこへ大戸屋の創業精神を受け継ぐ者として、智仁さんを担ぎ出した。それが“第3号議案”でした」

 かくして、株主総会は始まった。

「コロナの影響もあり、株主総会への出席者は減っていますが、それでも今回は、かなり集まったほうだと思います。やはりコロワイドは、事前にお食事券付きアンケートを株主に取るなど、総会に向けて熱心な動きをしていましたから関心も高かったのだと思います」(同)

 お食事券付きアンケートとは、コロワイドが大戸屋の株主に対して、大戸屋のコロワイドグループ入りに賛成かどうかを尋ね、回答した人には同グループで利用できる3000円分の食事券をプレゼントするというものだった。

「コロワイドは、約9割がグループ入りに賛成したと発表していました。実はこのアンケートの目的は、株主の電話番号を知るためだったと言われています。株主の名前と住所は株主名簿を閲覧することで知ることができますが、電話番号は分かりません。お食事券を提供するにあたり、電話番号も記入させた。その電話番号を何に使ったかといえば、コロワイドは個人株主に電話をして、大戸屋の委任状を破棄して、第3号議案に賛同するよう求めていたのです」(同)

 株主総会では大戸屋側からの提案である第1号議案(取締役11名の選任)、第2号議案(監査役2名の選任)はあっさり可決された。いよいよ第3号議案である。

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