「文在寅」肝いり雇用政策が大炎上、怒り狂う就活生に本人ダンマリはあんまり

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世界最大のハブ空港「仁川国際空港」が舞台

 韓国はスーパー学歴社会で、そのレールに乗れるか否かで人生が規定される超弱肉強食の実態がある。かの文在寅大統領の側近、曺国(チョ・グク)前法相も自らの近親者の入試で不正を働いてきた秘密を暴露され、司直の手が伸びることになった。ここにきて、「学生の最も行きたい公企業」「夢の職場」とされる会社への採用問題で学生らの不満が爆発。自らを“雇用大統領”と呼んだ文大統領の政策は不平等のそしりを免れず、当人はだんまりを決め込んでいるという。

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 韓国の玄関口であり、世界最大のハブ空港として知られる「仁川国際空港」。そんな巨大空港を運営する仁川国際空港公社は6月22日、60の協力会社に雇用されている非正規労働者を6月中に全員正規雇用する予定だと明らかにした。仁川空港で働く非正規労働者の数は実に9785人。そのうち、2143人を仁川国際空港公社が直接雇用し、残りは3つの子会社で雇用する計画なのだという。仁川国際空港公社の現在の正規職員は1400人程度というから、今回の正規雇用計画のスケールがいかに大きいかが分かるだろう。

 非正規雇用者を正規雇用に。聞き心地の良い政策にも聞こえるが、意外や意外、この計画に韓国では囂々の非難が起きている。

 その“怒り”の理由に触れる前に、今回の正規雇用計画の背景をご説明しよう。

 韓国の文在寅大統領は、まだ大統領候補だった頃から、若者たちに対し、自らを「雇用大統領」とまで呼んで“良質な雇用”を約束してきた。就任初期には、大統領府に雇用の現況が分かる資料を置かせていたほどだ。さらに、文大統領は「雇用を創出する主体が必ずしも企業である理由はない」として、公務員など公共部門の雇用を大幅に増やし、既存の公共企業の非正規職を全員正規職に切り替えるという“青年雇用公約”を掲げたのだ。

 そして、2017年5月に大統領に就任した直後には仁川国際空港を訪問し「公共部門の非正規雇用ゼロ時代」を宣言。これに対し、仁川国際空港公社の社長も「年内に1万人の非正規職を正規職に転換する」と答えたのだ。

 しかし、実状はそれほど甘くなかった。仁川国際空港公社の“非正規雇用ゼロ”は遅々として進まず、3年のときを経た今年の4月、ようやく241人の非正規労働者を直接雇用し、残りは子会社の正社員へと転換する方針を立てたのだ。

 もっとも、たった241人の直接雇用で文大統領が納得するはずもなく、5月には大統領府会議でその方針を転換。膨大な数の非正規労働者たちが正規雇用に格上げされることになったのだ。文大統領自ら仁川国際空港を訪れ、ぶち上げた“非正規雇用ゼロ”を尻すぼみに終わらせることはできないという大統領府の強い意志が働いたのであろう。

 一見、労働者に手厚い配慮をしたとも見えるこの計画。しかし、これに強く反発しているのは、仁川国際空港に就職しようとしてきた学生たちなのだ。

 実は、仁川国際空港公社は韓国の就職活動生たちにとって「夢の職場」と呼ばれている。

 韓国の公共企業に就職しようとする学生たちが集まるインターネット上のコミュニティサイトによれば、韓国の公企業への就職倍率はなんと150倍。そして、その中でも仁川国際空港公社は3年連続「最も行きたい公企業」に選ばれるほど人気が高い。

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