「河井克行」逮捕で振り返る…法相の経験者は“お騒がせ”のデパート

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むしろ法の破壊王大集合

 法務大臣──法整備、法秩序の維持を司る最高機関「法務省」の長であることは、誰もがよく知るところである。当然、職分に相応しい高潔な人格と品格が求められてしかるべきなのだが、そうはならないのが、日本の政界の面妖なところかもしれない。

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 6月18日、前法務大臣の河井克行衆議院議員が、東京地検特捜部に逮捕された。ともに逮捕された妻の案里参議院議員の選挙における、票の取りまとめが公職選挙法違反容疑に該当したためである。
 戦後初めてとなる法相経験者の逮捕に世間は騒然となる。法秩序を司る法相経験者が率先して法を破ったのだから当然だろう。

 しかし、筆者が調べたところ、不祥事に限っていえば、克行容疑者だけではなく法相経験者のそれは頻出している。他省庁の閣僚と比較しても、である。特に在任中においては想像以上と言っていい。

 記憶に新しいのは、第2次安倍改造内閣で法相を務めた松島みどり衆議院議員である。在任中の2014年10月7日、自らの選挙区内のお祭りでうちわを配ったことが公選法第百九十九条の二に抵触し、「うちわではない」と強弁を繰り返したが、追われるように辞任している。

 民主党政権下の野田第3次改造内閣で法相を務めた田中慶秋衆議院議員も、就任直後に過去の暴力団幹部との交際が指摘され、たったの3週間で辞任に追い込まれた。

 同じく民主党政権下(菅第1次改造内閣)で法相を務めた柳田稔参議院議員に至っては、地元の国政報告会の席上で「法務大臣とは二つ覚えときゃいいんです。『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と『法と証拠に基づいて適切にやっております』この二つなんです」などと放言し、当然ながら辞任している。ちなみにこのとき「法相という職を汚している」と謝罪と撤回を要求したのが、野党自民党のヒラ議員だった河井克行容疑者だったのは皮肉な話である。

 現職法相の不祥事はこれだけにとどまらない。「友人の友人がアルカイダ」と発言した故鳩山邦夫氏(第1次安倍改造内閣・福田康夫内閣)や、長勢甚遠元衆議院議員(第1次安倍内閣)に至っては、「収支報告書の虚偽記載」「実家の不動産登記法違反」「外国人研修生の受け入れ団体からの見返り献金問題」と、疑惑のトリプルに手を染める始末。

 極めつけは中村正三郎衆議院議員(小渕第1次改造内閣)だろう。就任直後に当時の検事総長を呼びつけ、「私は法務大臣、あなたは検事総長」と、上下関係の留意を言い渡したかと思えば、ハリウッド俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが旅券を紛失した際の提出書類を入国管理局に命じて取り寄せ私的に保管(後日「ファンだった」と釈明)。挙句に自身がオーナーを務める企業と訴訟中の別企業に対し、捜査を行うよう検察に指揮権を発動しようとするという「公私混同のトリプルエー」を成し遂げている。

 繰り返すが、列挙した不祥事はすべて法相在任中に起こしたものである。「法秩序の維持」どころの話ではない。

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