“石破に勝てるなら誰でも”“岸田で勝てないなら自分が”「安倍首相」解散戦略

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オリパラの成功を自分の手で

 朝日新聞が6月20・21日の両日に実施した世論調査によると、安倍首相の次の自民党総裁に誰がふさわしいかについて、石破茂元自民党幹事長が前回の調査結果25%から31%に伸ばしてトップ。石破氏は安倍首相の仇敵として常にコメントを求められる人物で、安倍人気が下がれば石破支持が増えるという相関関係にあるから、さほど驚く数字ではない。2位の小泉進次郎環境相にダブルスコアの差をつけた。小泉氏は昨年9月の入閣後、人気を下げ続けていて、ポスト安倍としては厳しそうだ。もっと苦しいというか箸にも棒にもかからないのが岸田文雄政調会長。“安定”して、5%前後の支持にとどまっていて、もはやポスト安倍とは言えないのではという指摘も出るありさまだ。

 その一方で、政党支持率を見てみると、例えばNHKの数字だと、1月の自民党支持率は40%だったのが、国会閉会後の最新の数字だと、約2割減となっている。ただ、その失われた支持率がどこへ行ったかというと、野党というわけではないのが実情だ。強いて言えば、公明や与党の補完勢力とみなされる維新が支持率を上げ、その受け皿となっているのだ。

「この点を受けて、そして、これからの自民党の情勢調査によって、野党が一つにまとまっていないことを突いて、“消費税減税”など誰も反対できない政策を看板に解散するのではという憶測が流れています。確かにその可能性はあるにせよ、“頭の体操”な印象が拭えない。安倍さんは憲法改正のことを先の会見でも強調していましたが、一番のこだわりは『オリパラの成功』です。首相を退いた後にキングメーカーとして機能するかどうかのポイントですし、あるいは自身の4選にも繋がるからです。オリパラへの強い思い入れがある以上、それを首相として見届けられるという相当な保証がない限り、解散を打たないという見方も強いんです」

 来夏にオリパラが開催されたとして、その後の9月には衆院議員の任期満了が控えていて、そこで解散したとしても、「追い込まれ」だと見なされて、現職の首相には不利だという見方は少なくない。

「安倍さんはそのことをあまり気にしていないようです。むしろ、オリパラの熱狂、そしてそれを成功に導いた宰相への信頼というものを疑っていないんだと思います。表向き岸田さんを後継候補としていますが、ポイントは“石破に勝てるか否か”です。石破さんに勝てるなら誰だっていいし、その候補が自分で機が熟すなら絶対に出馬する。1年数カ月もあれば永田町の様相はガラッと変わりますが、安倍さんの決意だけは変わらないと思います」

週刊新潮WEB取材班

2020年6月27日掲載

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