拳銃自殺の高1少年、3丁所持? 入手ルートに浮上する「外交官の父」の素顔

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「万引きで退職」

「外務省を辞めたのは、万引きがバレたから、と聞いています。自分から退職すれば問題にしない、と外務省側から言われ、退職することになった。それで、運送関係の仕事を自分で始めたそうです。ちなみに外務省時代から、休みの日は自宅の自分の部屋にこもり切りで子供の世話などはあまりやらない父親だったと聞いています」(先の親族)

 新たな道を歩み始めた6年後の18年、脳梗塞を患い、言語障害が残った父親は、昨年1月に八王子に引っ越した後、死去。こうした「不幸」がAの心に暗い影を落としたのは間違いないが、自殺直前の先月末、八王子市内の通信制の私立高校に通い始めていたAの身にも異変が。激しい腹痛で病院に行ったところ、難病の潰瘍性大腸炎と診断されたのだ。それが自殺の直接の「引き金」となったのかどうかは定かではない。

「拳銃の入手先については、親族の間では、『父親が赴任先から持ち帰ったものだろう』と話しています。もちろん推測ですが」(同)

 先の捜査関係者が言う。

「少年の母親は、『(夫が赴任していた)アルゼンチン時代に、護身用に拳銃を持っていたのを見た』と供述しています」

 外務省は、職員が赴任先の国で拳銃を所持することを禁じている。こうした点と点を結んでいくと「父親ルート」が濃厚であるように思えてくるが、決めつけるのは早計。なぜなら、

「『父親ルート』は拳銃捜査を担当する警視庁の組対5課が流しているフシがある。少年の家が『武器庫』のようになっていたことが分かってきて、現在、警視庁内では“組対5課は何をしていたのか”と批判の声が上がり始めている。それで責任逃れのために『父親ルート』を匂わせているわけです」(先の警視庁関係者)

 銃器評論家の津田哲也氏はこう指摘する。

「少年が使用した拳銃のシリアルナンバーを辿れば、拳銃の製造年や販売店、購入者の身分も分かる。購入者の身分証の確認が不十分だったとしても、少なくとも、どこの国で販売されたものかは判明するはず。だから、父親のルートで入手したのかどうか、ある程度分かる可能性もある」

 拳銃に刻印されたその数字の裏には、どんな物語が隠されているのか。

週刊新潮 2020年6月25日号掲載

特集「『高1拳銃自殺』 外交官の父が育んだ少年『わが家の武器庫』」より

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