巨人「堀岡隼人」、広島「坂倉将吾」… ルーキー以外で活躍しそうなセ・リーグ若手有望株6人

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 いよいよ6月19日の開幕が決まったプロ野球のペナントレース。昨年は投手では山本由伸(オリックス)、高橋礼(ソフトバンク)、野手では村上宗隆(ヤクルト)が大ブレイクを果たし、高橋と村上は新人王にも輝いた。彼らに続くような選手は誰なのか、今年ブレイクが期待される若手選手をあえてルーキー以外から一球団一人ずつ紹介したい。今回はセ・リーグの6球団だ。

 昨年3年ぶりの優勝を果たした巨人では、育成ドラフトでの入団ながらいきなりイースタンで首位打者を獲得した山下航汰を推したかったが、右手有鈎(ゆうこう)骨の骨折で出遅れることとなった。その代わりに紹介したいのが、こちらも育成選手出身の堀岡隼人だ。プロ入りから2年間は二軍での登板もなく三軍での体つくりの日々が続いたが、3年目の昨年は二軍の抑えに定着。チームトップの9セーブをマークして防御率1.04という抜群の成績を残し、シーズン終盤には一軍のマウンドも経験した。高校時代は140キロ程度だったストレートが現在ではコンスタントに150キロを超えるようになり、数字に見合う勢いを感じる。チームはここ数年絶対的な抑え不在だけに、場合によってはクローザー候補の一人になる可能性は十分にあるだろう。

 DeNAでは大学卒2年目の伊藤裕季也を推したい。ルーキーイヤーの昨年は8月に一軍昇格を果たし、21試合の出場で15安打に終わったが、そのうち半分以上の8安打が長打で4本塁打と自慢の長打力は十分に見せた。三振の多さと出塁率の低さは気になるものの、立正大時代からここ一番での集中力には定評があり、職人的な雰囲気を感じる。ソト、ロペス、オースティンと右の強打者タイプの外国人は三人揃っているが、チーム事情を考えると外国人枠を投手に使いたい時期は必ず出てくる。そうなった時に、昨年終盤に見せた打撃ができれば一気にレギュラー獲得の可能性も高い。

 阪神はルーキー以外の若手の絶対数が少ないが、一人挙げるなら才木浩人がブレイク候補となるだろう。プロ入り2年目の2018年に6勝をマークし、昨年も4月下旬からローテーションに入り2連勝と順調だったが、5月に右肘の故障で戦線離脱し、そのままシーズンを終えた。故障からの回復具合は気がかりだが、豪快な腕の振りは一級品で、好調時は150キロを超えるストレートで打者を圧倒できるのは大きな魅力。通算でも投球回数を上回る奪三振数をマークしている。故障明けの才木にとっては、開幕が延期になったことは逆にプラスにもなったはずだ。阪神の先発ローテーションは西勇輝、青柳晃洋に次ぐ存在は不透明なだけに、才木がここに入り込んでくると、ぐっとチームの将来は明るくなるだろう。

 広島では高校卒4年目の捕手、坂倉将吾を推したい。捕手と書いたが、際立っているのはそのバッティングだ。高校卒1年目からいきなりウエスタンでリーグ2位の打率をマークし、過去3年間の成績をまとめると以下の通りとなる。

2017年:285打数85安打1本塁34打点13盗塁 打率.298 出塁率.359 長打率.400
2018年:161打数53安打4本塁打29打点4盗塁 打率.329 出塁率.372 長打率.547
2019年:110打数36安打2本塁打15打点5盗塁 打率.327 出塁率.413 長打率.473

 通算打率は.313となる。高校卒3年間でここまで安定して成績を残している選手は12球団を見回しても他にはいない。年々安打数が減っているのは一軍の帯同期間が長くなっているからで、昨年はプロ初ホームランもマークしている。正捕手の会沢翼の壁は高いが、脚力もあり外野も守れることから、レギュラーの固まっていないレフトでの起用も十分に考えられるだろう。

 7年連続Bクラスに沈む中日でエース候補として期待したいのが梅津晃大だ。ルーキーイヤーの昨年は右肩の故障で出遅れたものの、二軍で結果を残して後半戦は一軍のローテーションに定着。デビューから3連勝を果たすなど4勝をマークしてシーズンを終えた。長身から投げ下ろす角度のある150キロ前後のストレートと打者の手元で鋭く変化するスライダーとフォークが武器で、大型ながら制球力も高い。東洋大時代は上茶谷大河、甲斐野央とともに150キロトリオとして注目されたが、潜在能力の高さでは梅津を推す声が多かった。アマチュア時代から故障が多いことが気がかりだが、コンディションさえ万全なら一気にチームの勝ち頭になる可能性も十分にあるだろう。

 投手陣の立て直しが急務のヤクルトで救世主となりそうなのが今年ソフトバンクから加入した長谷川宙輝だ。2016年の育成ドラフト2位でプロ入りし、過去3年間での二軍成績は24試合に登板して2勝4敗に終わっている。しかしプロ入り前には140キロ程度だったストレートが現在では150キロを超えるようになり、育成契約延長の打診を断ってヤクルトが支配下選手として獲得した。キャンプからアピールを続け、練習試合、オープン戦でも結果を出しているだけに、いきなり開幕一軍を勝ち取る可能性は十分にある。新人王争いでもダークホース的な存在として期待できるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月17日掲載

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