「大戸屋」従業員が株主提案のコロワイドに激怒 社員を「アホ」と呼ぶ問題発言の数々

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700億円以上の「のれん」

「コロワイドは大戸屋の株主に向けて、“3000円お食事券付き”のアンケートを送付して、子会社化に対して9割を超える賛同を得たといいます。株主は個人株主が多いので、彼らがどう考えるかによるでしょうね。もっとも、コロワイドは今、大戸屋にちょっかいを出している場合ではないのですが……」(同)

 コロナ禍により、多くの外食チェーンは危機に瀕しているが、コロワイドも例外ではない。

「居酒屋や焼き肉店など夜のチェーン店を多く展開するコロワイドは、かなりの影響を受けています。すでに不採算店を中心に、全直営店の1割強、196店舗を年内に閉店することを決定しています。5月には静岡で『牛角』FC店などを経営していた会社が破産手続きに入り、6月は青森で『牛角』FC店を経営していた和菓子店が破産しています。大戸屋のFCオーナーを心配するより、自社のFCオーナーを気遣うべきです」(同)

 さらに、コロワイド本体にも危機が迫っているというのだ。

「“のれん”ってご存知ですか。企業を買収で支払った額のうち、純資産を上回った差額のことを言います。貸借対照表にも記載されています。コロワイドの場合、買収、買収で大きくなっているので、のれんの額が非常に大きいのです」(同)

 例えば、10億円で買収した企業の純資産が5億円だった場合、差額の5億円がのれんとして計上される。コロワイドの場合、20年3月期ののれんは、717億9500万円だった。

「700億円以上ののれんは、飲食業界でNo.1、自己資本以上となっています。もちろん買収した企業が儲かっていれば何の問題もありませんが、業績が急に悪化した場合、のれんを減損処理しなくてはならなくなるのです。今年3月期の連結決算では、コロワイドの最終損益は64億4700万円の赤字。営業利益は33・7%減の56億3200万円と、急激に悪化しています。自己資本以上の減損リクスがあるコロワイドは、一気に債務超過に陥る時限爆弾を抱えているようなものです」(同)

 コロワイドが無事にコロナ禍を乗り切ったとしても、今後の経営のあり方は変わってくるとも。

「実は彼らにとって、敵対的買収は大戸屋が初めてといっていい。これまでは、経営が傾いた企業などを、ファイナンシャルアドバイザーや証券会社などに紹介されて買収してきました。しかし、ここまで相手企業のステイクホルダー、つまり従業員やFCオーナーといった利害関係者に反対されてしまう企業としてレッテルを貼られてしまうと、『あそこだけは勘弁してください』と言われて、彼らに売り物を紹介しようとする会社もなくなってしまうでしょう。強気の経営戦略も崩れるかもしれません」(同)

週刊新潮WEB取材班

令和2年6月15日掲載

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