コロナで未だ「死者ゼロ」のベトナム、感染爆発なしのアフリカ 驚きの理由とは?

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「都市の病」

 とはいえ、実はアフリカの死者数は他の国々に比べ、相対的に少ないことが指摘されている。

 生活習慣病の人が多いといわれるエジプトの死者は約千人に上るが、南アは日本より少ない約700人。現在進行形で数が増えているとはいえ、欧米に比べれば天と地の差。WHOのテドロス事務局長の出身国、エチオピアも感染者1200人に対し、死者は11人であるし、ルワンダは感染者400人弱で死者は1人。ゼロの国もあることは前述した通り。

 英国キングス・カレッジ・ロンドン教授でWHO事務局長上級顧問の渋谷健司氏が指摘する。

「南アやルワンダなどではロックダウンの効果がありましたし、多くの国では、大都市やスラムを除き、人口密集度が高くないので、感染が広がりにくいという環境も一因だと思います。また、死者数が少ないのは、アフリカの平均寿命が60歳前後で、人口に占める若年層の比率が高く、肥満率も低いので、重症化が抑えられているのでしょう。ただ、医療体制が十分でない国も多いので、一度感染が広がれば死者数が増える危険性もあります」

 東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授も、

「改めて、新型コロナウイルスは都市の病であると再認識しました。人口が密集するニューヨークやロンドンで流行する。日本なら東京や大阪、というわけです」

 最後に、日本でエチオピア料理店を営む50代のエチオピア人店主に聞くと、

「エチオピア料理にはたくさんのスパイスが使われているからね。オーガニック! だからコロナにかからないといわれているよ。マラリアとかいろいろあるからウイルスに体が慣れている、エチオピア人、ウイルスに強いネ」

 例のクイズ番組では正解とならないかもしれないが、日本人と真逆の、悲観的にならぬ心持ちが、免疫を下げないという意味で重要なのかもしれない。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

特集「逆襲の『コロナ』」より

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