コロナで未だ「死者ゼロ」のベトナム、感染爆発なしのアフリカ 驚きの理由とは?

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政府が禁酒令

 一方、新型コロナウイルスの流行を最も憂慮されてきたのは、アフリカ大陸だ。WHO(世界保健機関)も今後1年間で、最大4400万人が感染し19万人が死亡すると警鐘を鳴らしている。

 しかし、と先の記者が解説する。

「現在(取材当時、以下同)、アフリカ全体の感染者数は15万人弱、死者は4千人を超える程度です。180万人が感染しているアメリカ、50万人に及んでいるブラジルに比べれば、比較的、感染拡大は抑えられています。南アフリカやエジプトなど、感染が急拡大している国がある一方、ウガンダやナミビアなど死者ゼロの国もあるほどで、二極化しているといえるでしょう」

 その中にあって、3万人超と感染者数が大陸で最も多いのが南アフリカである。

 南ア在住のガーデンデザイナー、谷向俊樹さんによれば、

「3月中旬に初めての感染者が確認され、3月末にはロックダウンとなりました。国によるコロナ対策には5段階あって、当初は最も厳しいレベル5、買い物にも散歩に出ることも許されませんでした。5月1日に朝のみ、近隣での運動は許されるレベル4となり、6月から通勤可能なレベル3まで緩和されてきたところです」

 さらに、現地在住の日本人は医療事情をこう語る。

「病院に関しては公立と私立があり、公立は原則無料なものの、医療物資も人も十分ではありません。他方、費用のかかる私立病院は、日本人が安心して出産できるほど、設備が整っています。実はHIV陽性者が世界で最も多いのが南ア。総人口5800万人のうち700万人以上が陽性ともいわれているので、感染症対策に慣れているという側面はあります。病院に運ばれてくる人を全員HIV陽性者だと思って対応していますから」

 また、コロナ対策として政府は禁酒令を出したのだが、これにも理由があって、

「週末になると、ある病院では10人以上もの救急患者が運ばれてきます。原因のほとんどが飲酒しての喧嘩。発砲やナイフで刺すという事例もあり、これにより医療崩壊を招かぬよう、酒を規制したのです」(同)

 南アに次ぐ約2万5千人の感染者数となっているのが、ピラミッドやスフィンクスが聳えるエジプト。感染拡大の真っただ中だ。

 カイロ勤務の日本人男性が言う。

「最近は連日千人を超える感染者が出ていて、医療機関のベッドが足りないのか、大学の寮を病院として利用することもあるようです。その辺は軍事国家なので、実施のスピードはとても早い。夜7時から朝の6時までは外出禁止で、お店も閉まるので、外ではシーシャ(水たばこ)も吸えません」

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