「アイスバイン」ってどんな食べ物? 周来友おすすめの本格上海料理店

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第43回は、周来友さん。今回は「四季 陸氏厨房」に伺いました!!

 フランス料理、トルコ料理と並んで、“世界三大料理”のひとつと目されている中華料理。とはいえ、何しろ広い国、その内実はさまざまだ。東シナ海に面した浙江省出身のジャーナリスト、周来友さんが紹介してくれるのは、上海料理が自慢の「四季 陸氏厨房」である。

「中国のなかでも、一般的に北部は味が濃くて、西部や内陸部は辛い。東部のまんなかに位置する上海はさっぱり味の料理が特徴ですね。わたしにとっては“ふるさとの味”といってもいいものですよ」

 と、解説しながらも、どこかソワソワした周さん。それもそのはず、たったいま銀座にあるお店からお気に入りの料理をテイクアウトしてきたばかりなのだ。はやる気持ちを抑えつつ、日比谷公園で食べることに。

 まずはチンジャオロース。鼻歌まじりに包みを解けば、おや、どうも日ごろ見慣れたチンジャオロースとは様子がちがう。

「タケノコじゃなくて、マコモタケをたっぷり使ってるからね。シャキシャキして歯ごたえは最高。こどもの頃、近くの池や川のほとりに生えてるマコモタケをナマで齧りましたよ」

 枝豆やザーサイも塩味に絶妙なアクセントをつける。これはもう箸が止まりません。

 お次はアイスバイン。豚のすね肉を4時間半煮込んだという。

「例えばおじいさんのお誕生日みたいなお祝いの日に、家族団欒で食べる料理です。少年時代に食べた最高のごちそうなんですよ」

 だれの誕生日でもないのに、大きく口を開けてパクリ。目尻が下がります。

「柔らか~い! 甘めなんだけど、脂っこくないんだよね」

 渡りガニの甘酢漬けもお気に入りなんだとか。

「季節によって毛ガニだったり上海ガニだったりするんだけど、アルコール度数の高い白酒をかけるこの料理は、生活の知恵から生まれた保存食ですね。それにしても、ビール買ってくればよかったな」

 次回は忘れないようにしましょう。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

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