韓国唯一のノーベル賞にキズ「金大中・元大統領」子息、賞金めぐり骨肉裁判に

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母親違いの次男VS三男で係争中

 韓国人にとって、金大中元大統領には、他の大統領とは異なる思い入れがあるという。韓国は、建国以来、ノーベル賞の受賞が1度。その貴重な1回が、金大中元大統領が2000年に受賞した「ノーベル平和賞」なのだ。北朝鮮の金正日国家主席と南北首脳会談を成功させたことが評価され、平和の使いとなった金大中・元大統領。しかし、2009年に金元大統領が亡くった後、このノーベル平和賞の賞金を巡って骨肉の争いが繰り広げられることになるとは、当人も想像だにしなかったであろう。

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 金元大統領の遺産を巡って争っているのは、次男の金弘業氏と、三男の金弘傑氏。弘業氏は金大中平和センター理事長を務める人物で、弘傑氏は今年4月に初当選した、共に民主党の現役国会議員だ。ちなみに、同じく国会議員だった長男の金弘一氏は昨年4月、亡くなっている。

 次男と三男が争うことになったのは、昨年6月、金元大統領の妻・李姫鎬氏が亡くなったことがきっかけであった。

 在韓ジャーナリストによれば、

「金元大統領の妻・李姫鎬さんは、金元大統領の2番目の奥さんなんです。長男の弘一氏と次男の弘業氏は一番目の奥様の子ども、三男の弘傑氏が姫鎬さんのお子さんです。金元大統領は生前に生活していたソウル市の約30億ウォンともいわれる私邸と、ノーベル平和賞の賞金を遺産として妻である李姫鎬さんに遺していた。それらの財産が、昨年6月に奥様が亡くなったことで子どもに相続されることになり、争いに発展したというわけです」

 李姫鎬氏の死後、三男の弘傑氏が30億ウォンの私邸の不動産登記簿を自己の名義に変更。これに対し、金大中平和センター理事長の弘業氏が仮処分の申し立てを行い、今年4月、ついに訴訟に発展したのだという。

 一方、ノーベル平和賞の賞金は、受賞した当時の為替レートでおよそ11億ウォン。そのうち3億ウォンを延世大学の金大中図書館に寄贈し、残りの8億ウォンを運用して、毎年12月に、貧しい人たちへの義援金や国外の民主化運動の支援に充てられていた。しかし、

「この8億ウォンも李姫鎬さんが亡くなった後に行方不明になっている。姫鎬さんの死後、通帳と印鑑は弘業氏が管理するはずだったのですが、その前に、三男の弘傑氏が全額を引き出してしまったと言われています」

 一体、どうして兄弟間の争いに発展してしまったのか。

「そもそも、2017年のうちに、李姫鎬さんは自分の死後に備えて遺言書を残しているんです。その内容は、〈東橋洞の私邸を「大統領私邸記念館(仮称)」として遺し、ノーベル平和賞の賞金は大統領記念事業のための基金として使用する〉というもの。この遺言は、弁護士の立会いの下で3人の息子の同意を得て作成され、遺言執行の責任は金聖在・金大中平和センター常任理事に任せられた」

 しかし、そこには、三男の法定相続分という穴があったのだ。

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