ジャッキー・チェンが国家安全法を支持 香港・台湾・日本が呆れる中国べったり言行録

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 5月28日に閉幕した中国の全国人民代表大会で、中国への反逆行為を取り締まる香港版「国家安全法」が導入されることが決まった。これに対し、香港の芸能関係者が支持する声明を発表した。署名リストのトップには、人気俳優のジャッキー・チェンの名前もあって……。

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 香港出身のジャッキーは、長く香港映画の象徴的存在だった。90年代にはハリウッドでも成功をおさめ、世界的な人気俳優に。米・フォーブス誌がまとめた2018年の「世界で最も稼ぐ男優」ランキングでは、4550万ドル(約50億円)稼いだとされ、5位にランクされた。

 だが、その一方で、香港や台湾の国民を逆なでするような発言を繰り返してきたことでも知られる。

 ジャッキーは、2013年に全人代と同時に開かれる、全国レベルの重要な政治的決定を行う「中国人民政治協商会議」の委員に就任。2018年3月に開かれた政治協商会議の期間にメディアの取材に対し、

「香港映画などない。あるのはただ1つ、中国映画だけだ」

 と発言。香港映画界から大顰蹙を買った。

自身が習近平を演じる

「ジャッキー・チェンは、以前から中国の政策をすべて支持していました」

 と解説するのは、評論家の黄文雄氏。

「2004年3月に台湾で総統選挙が行われた際、再選を狙う民進党の陳水扁(ちんすいへん)氏が投票日前日に狙撃されて負傷するという事件が起きました。この時、事件は自作自演ではないかという声があがったのですが、ジャッキーはそれに同調して『宇宙規模の笑い話』と言っています。さらに、『中国と台湾の統一が、中国をさらに強大にする』とまで発言。陳水扁氏が再選すると、ジャッキーは、『台湾には今後4年間行かない』と宣言しました。これで台湾でもジャッキーへの反発が一気に高まりました。以来、“台湾の敵”のような存在になったのです」

 それから4年後の2008年5月。ジャッキーは、台湾で親中色の強い国民党政権が発足すると、翌6月にチャリティーイベントに参加するため台北へ。桃園空港に到着すると、抗議に集まった群衆から「帰れ!」の声が浴びせられたのである。

 2012年に香港で反中デモが起こった際、中国の週刊誌「南方人物周刊」でこんな発言をしている。

「香港人は世界一のデモ好き」「中国を罵倒し、政府高官を罵倒し、何でもデモに発展させる。デモを行っても良いデーマは何か、してはいけないのは何か、規定を作るべきだ」

この発言も香港で大炎上したという。

 2012年10月、出演100本目となる映画「チャイニーズ・ゾディアック」のPRのため、ロケ地となった台湾を訪問した。映画では、中国から流出したお宝を、世界各国を回って奪い返すという役だったため、記者から尖閣諸島について質問されると、

「歴史的にも釣魚島は中国のものであることは疑いようがありません」

 さらに、北方領土については、

「北方領土は日本のものであり、ウラジオストックは中国のものです」

 と語った。さすがにこれには、日本人も怒るはずだ。

 ジャッキーは、2008年の北京オリンピックで開会式と閉会式に出席。10年の上海万博では、世界中に配信されたPRソングでメインボーカルを務めた。なぜ、ここまで中国政府と近いのか。

「中国では、日本人を崇拝し精神は日本人のような人を『精日』と言い、現在こういう人が急増しています。これに対してジャッキーは、2018年に政治協商会議の委員として、精日を罰する『国家尊厳法』制定に関する提案書を中国当局に提出しているのです。まさに彼は、中国当局とは密接な関係を築いています。おそらく習近平とも会っているのではないでしょうか。中国にべったりな理由は、映画のギャラが他のアジアの国より100倍も高いからでしょう」(同)

 実際、2010年代から、ジャッキーが出演する映画は、中国映画か中国と香港、中国とアメリカの合作映画ばかりだ。2019年に公開された「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」は純粋な中国映画である。

 毎年10月1日は、中国の建国記念日である「国慶節」。昨年は70周年の節目の年とあって、北京では大がかりな閲兵式とパレードが行われ、ネットでは有名人によるインタビューが配信された。ジャッキーは真っ赤な中国服を着て、中国についてこう語った。

「本当に大きな変化だ。以前は誰にも相手にされなかったのに、今は中国がくしゃみをしたら地球が驚く。僕らの中国は大国だ」

「習近平政権は今後も、彼を最も使い勝手のいい芸能人として利用するでしょう。ジャッキーはいずれ、習近平物語みたいな映画を製作し、自身が習近平を演じることを狙っているのかもしれませんね」(同)

 香港の活動家、周庭さんはジャッキーについて「香港の若者の間では非常に人気が低いです」とつぶやいている。

週刊新潮WEB取材班

2020年6月7日掲載

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