誰が「木村花さん」を殺したか コスチューム事件も?演出が招いた悲劇

エンタメ 週刊新潮 2020年6月4日号掲載

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 見つかった遺書には、〈お母さんごめんない。産んでくれてありがとう〉と書かれていたという。

 弱冠22歳でこの世を去った女子プロレスラーの木村花さん。プロレス団体「スターダム」に所属し、獣神サンダー・ライガーがアメリカ最大のプロレス団体「WWE」で活躍できる逸材だと評価するなど、将来を期待されていた。

 その死については、自身もプロレスラーだった母親の意向もあって、所属事務所は詳細を明かしてはいない。

 5月23日午前3時半頃、花さんが変わり果てた姿で見つかったのは、都内・亀戸にある自宅マンションだった。近隣のアパートに住む男性はこう振り返る。

「大きなサイレンの音で目が覚めて外に出たら、ガスマスクをして酸素ボンベを背負った消防隊員が集まっていてね。一人の隊員が女性を抱きかかえていた。彼女は頭が下がってぐったりした状態。救急車に乗せられ心臓マッサージを受けていましたが、彼女の友人とおぼしき女性たちが“花、戻ってきて!”と何度も大声で叫んでいた。野次馬たちは、“ガス自殺じゃないか”と話していましたね」

 実際、現場となった彼女の部屋の玄関扉には〈有毒ガス発生中〉と書かれた貼り紙があったという。

 社会部記者によれば、

「室内から硫化水素が検知され、薬剤の容器が置かれていたことから警察は自殺を図ったものとみています。発見時、彼女はベッドの上で頭からポリ袋を被った状態で、すでに心肺停止の状態だったそうです」

 死の直前、彼女のSNSには異変が起きていた。

 自らの腕を執拗に何度も切り刻む、いわゆるリストカットをした写真が何枚もアップされていたのだ。

 一連の書き込みを見ると、

〈そうだよね。顔も中身もブスでごめんね。消えれるもんなら早く消えたいよ〉

〈愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。〉

 異様な文言が並ぶが、注目すべきはこの一文である。

〈毎日100件近く率直な意見。傷付いたのは否定できなかったから。死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思ってました〉

 この数カ月、花さんを悩ませていたのは、SNSに届く不特定多数の人物からの〈率直な意見〉だった。彼女の人格や存在までをも否定する罵詈雑言は、1日100件近くに及んだ。

 なぜこれほどのバッシングを受けることになってしまったのか。その発端とされるのが、昨年9月から彼女が出演していた「テラスハウス」だ。フジテレビとイースト・エンタテインメントが制作を担当。Netflixで先行配信した後に地上波でも放送される人気番組だが、そこで彼女は“炎上騒動”に巻き込まれていた。

 この番組は冒頭、こんなナレーションから始まる。

「テラスハウスは、見ず知らずの男女6人が共同生活する様子を、ただただ記録したものです。用意したのはステキなお家とステキな車だけです。台本は一切ございません」

 ひとつ屋根の下で過ごす異性の恋愛模様を報じるこの手の番組は、「恋愛リアリティーショー」と呼ばれるが、炎上のきっかけになったのは3月31日の配信分。「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」の第38話で、彼女は10万円もする「命より大事」なプロレス用のコスチュームを、洗濯機に入れたまま外出する。

 その後、同居するコメディアン志望の小林快氏がそれに気づかず洗濯し乾燥機にかけてしまい、コスチュームは激しく縮んでしまう。涙を浮かべる彼女を同居人は慰めるが、やがて哀しみは怒りに変わる。彼女は洗濯をした快氏に向かって、

〈あんたのせいでこうなってんの!〉

〈一緒に住むんだったら、人のこともっと考えて暮らせよ! 限界だよもう!〉

 などと怒号を浴びせて掴みかかり、修羅場となってしまったのだ。実は番組内で彼女は快氏に思いを寄せていたが、京都旅行で彼の言動に不満を募らせていた。それがこの一件で一気に爆発した格好となったという。

 男女が暮らす中ではありがちな話だが、ネット民たちはそう捉えなかった。

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