「太田雄貴」会長で金銭負担が大幅増… フェンシング“選手会”が説明要求の事態に

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 五輪メダリスト・太田雄貴(34)が、日本フェンシング協会の会長に就任したのは2017年のこと。以来「改革の騎士」として競技のエンタメ化などを推し進めてきた若き会長に、選手たちから不満の声が上がっていた。

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〈これは気合を入れないと続けられないな。〉とのつぶやきと共に、12年五輪のフェンシング男子フルーレ団体の銀メダリスト・三宅諒選手(29)は一枚の写真を公開した。イタリアやフランスなどで行われた国際大会等の遠征費用を求める請求書で、差出人には〈会長 太田雄貴〉とある。三宅選手の自己負担額合計は「計67万323円」にも上っている。

 あわせて三宅選手は、同様の請求がほぼ毎月あることも明かした。さる協会関係者は「協会に所属する選手たちは、遠征費用を全額負担させられているのです」とし、こう語る。

「本来、選手は協会から遠征費用の補助を受けられます。日本代表クラスなら協会が全額負担する場合もある。むろん予算は限られており、選手のレベルに応じて自己負担の割合は変わりますが、昨年7月の世界選手権終了後、トップ選手ですら遠征費は自腹になった」

 改革の騎士がトップに居ながら、選手たちが苦境に……。先の三宅選手は「ウーバー」配達員をして遠征費などを自分で稼いでいるという。

 遠征費が全負担となったことを受け、日本代表クラスの選手たちが集う協会の「アスリート委員会」、いわゆる「選手会」は、協会に対して説明を要求。5月28日にオンライン会議の形で極秘裡に「緊急説明会」が行われたという。

 実は1月にも協会が“釈明”する機会が設けられており、自己負担をめぐる選手たちとの会議は二度目。1月の段階では、19年にハンガリーで開かれた世界選手権で「想定外の出費」があり、選手たちに使う金がなくなったと協会は説明したという。

 そしてこのたびの「緊急説明会」だが、

「想定外出費の実態は、あまりに杜撰などんぶり勘定でした」(協会に所属するアスリート)

 そして、選手への補助は難しいことが改めて告げられた。

 太田会長は週刊新潮の取材に、

「選手たちから上がった声に対しては、真摯に受け止めて反省すべき点はしないといけません」

 と話し、のちにメールにこたえる形で、日本オリンピック委員会からの助成金が減少傾向にあることなどを、選手負担増の理由に挙げた。こうした状況で、来年に延期となった東京五輪のメダルの行方は――。6月4日発売の週刊新潮で詳しく報じる。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

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