自宅にいても“沈黙の肺炎”コロナに克つ自衛術 重症化の兆候とは

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 コロナに感染した著名人の“突然の訃報”が相次げば、不安に駆られるのも無理のない話。肝要なのはやはり重症化の“兆し”を見逃さないことだろう。自宅にいながら“沈黙の肺炎”に克つための自衛策とは。

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 日常生活における注意点について、医学博士で元小樽市保健所長の外岡立人氏はこう指摘する。

「新型コロナウイルスによる肺炎の特徴は、重症化すると気管の最末端にある細気管支が、炎症で生じた滲出物によって詰まることにあります。その結果、肺胞まで酸素を送り込みにくくなり、患者は息苦しさを感じるわけです。普段通りの生活をしているだけで息切れを起こしたり、倦怠感や疲労感を覚えるようなら危険なサインと考えるべきでしょう」

 ただ、日本医科大特任教授の北村義浩氏によると、“息苦しさ”は思いのほか自覚しづらいという。

「いきなり呼吸困難に陥ったように思えても、実際にはゆっくりと容体が進行していることに気づかないだけなのです。たとえば、私たちは食べ物を口にする瞬間、息を止めていますが、呼吸困難を起こしていると息苦しくて飲み込めません。それを自覚できないまま、何となく“食欲がない”と感じてしまう。そこで重要なのは、パルスオキシメーターのような医療機器で客観的な数値を確認することです」

 この医療機器は血中酸素濃度を測ることができる。

 ちなみに、本誌(週刊新潮 4月30日号)で取り上げた自衛隊中央病院でも、コロナ患者の異変を察知するために、血中酸素濃度の確認を重視していた。北村氏が続ける。

「パルスオキシメーターを使うと健康な人は96~98%といった数値が出ますが、反対に90%以下はかなり危険な状態です。陽性患者が入る宿泊施設では、検温と共にこのパルスオキシメーターで1日に2~3回ほど血中酸素濃度を測っている。自宅待機している陽性者も同じ頻度で計測した方がいいと思います」

血栓にも注意

 また、山王病院呼吸器センター内科副部長で、国際医療福祉大学教授の須藤英一氏の解説によれば、

「唇や指先が紫色に変色するチアノーゼを起こしたら、低酸素状態だと考えてください。また、心拍数もひとつの判断材料。血液中の酸素濃度が低下すると、交感神経系が優位になり、心臓の動きが活発になって脈も速くなります。これが頻脈です。安静時における成人の心拍数はおよそ65~85ですが、頻脈の場合は110~120以上と3桁となります」

 コロナ由来に限らず、肺炎の一般的な兆候としては、

「咳や痰、発熱に加えて、息苦しさや胸の痛みが挙げられます。胸が痛む場合は心臓以外に肺炎を疑うべきです」(同)

 さらに、このところ注目されているのは、新型コロナウイルスが血栓を引き起こすという指摘だ。実際、米・ニューヨークでは、30~40代の若いコロナ患者が脳梗塞を併発する例が続発しているという。先の矢野氏が言う。

「確かに、新型コロナウイルスが血液凝固系に障害を及ぼす可能性は指摘されています。たとえば、自宅で突然亡くなったコロナ患者のなかには、深部静脈血栓症といってふくらはぎに血栓が生じ、それが肺の動脈などを詰まらせたケースも少なくないのではないか、と。陽性と診断されて自宅待機している方は、エコノミー症候群の対策と同じようになるべく歩くことを心掛けて、意識的にふくらはぎの筋肉を動かしましょう。同時に、水分を補給することも忘れないでください」

 沈黙の肺炎から命を守るために、自らの身体の声に耳を傾けてもらいたい。

週刊新潮 2020年5月21日号掲載

特集「『コロナ』見えすぎる敵」より