テレビ各局がシミュレーション! コロナ禍に地震、災害発生で「百密」現場

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 コロナ禍が一旦は収まったとしても、第2波、第3波の到来は確実とされている。そんな中、台風や大雨に伴う災害が起こったり、規模の大きな地震が発生し、避難所などでの生活を余儀なくされる人々が出てきた時にどうするのか……。テレビ各局がシミュレーションを始めているという。

相次ぐ緊急地震速報

 コロナ自粛の折、携帯電話から緊急地震速報が流れる夜が続いた。5月4日夜と6日の未明、震源地はそれぞれ千葉県北東部と北西部。マグニチュード5.5と5.0、最大震度はいずれも4だった。その一方で、長野県では4月22日から5月8日までに計74回の地震が計測されている。

「地震が続いているからというわけではないんですが、いろんな場面を想定しておいた方がいいよね、というところですね。他の局もそうなんじゃないですかね」

 具体的な放送局名を明かすことはできないが、東京のある局の幹部がこう明かす。

「もちろん気を緩めてはいけないですが、コロナ禍は何となく収束気味ですから、近い将来にどんなことが起こるかについて力点を置いてもよいのかなという考え方です。去年の災害とかって皆さんの記憶に新しいじゃないですか?」
 
「去年の災害」とは、日本列島を襲った台風15号と19号を指す。現在では、その被害の甚大さから、それぞれ「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」と呼ばれている。被災者向けの避難所が数多く設けられ、中には今年3月になるまで開かれていたところもあったという。

 あるいは、今後30年間に99%の確率でマグニチュード7.5のレベルに達すると中央防災会議が想定する「南海トラフ地震」。耳にタコができるほど、被害の大きさが繰り返し想定され、報道されてきた。

「たとえば、コロナがまたぶり返してきた時に、超ド級の台風や南海トラフ地震が来たらどうするのか。自宅を離れるにあたって、避難所のような場所しかしない人たちがほとんどでしょう。でも、コロナのクラスターが発生する可能性があるのに、そういうところに人々を閉じ込めていいのか。そんな極の判断を自治体は迫られる可能性があります」

 3密どころか超密とか百密……。考えたくないが、起こりうる近未来だ。

「仮に、避難所のようなところができた場合、取材はどうするのかということも当然つきまとうわけです。『報道ステーション』に絡んでクラスターが発生してから、現場では、取材に対してネガティブな反応が出てきています。特にカメラマンからはそういう意見があがっていますね。最近の機材はよくできているので、記者がカメラをもって出張ったり、あるいは、特別養護老人ホームなど、高齢者や虚弱体質の方が多数いらっしゃるところとは、zoomを使ってやりとりをするなど、色んなシミュレートをしています」

 そうやって気を付けていても、テレビ局には逃れられない宿命があるという。

「テレビ局の報道フロアの『人口密度』はこのコロナ禍でも高いままですよ。打ち合わせもそうですけれど、ニュース番組の責任者に“このテーマは世間の注目度が高いから、尺(放送時間)をもっと”とアピールする時には、実際に担当者が出向くわけです。口角泡を飛ばすっていう言い方があるじゃないですか? まさにアレで、熱っぽく語るぶん、それぞれの距離が縮まって自然に3密になります」

「あと、放送前にニュースの内容をみんなで確認する試写の機会があるんですが、そういうのもリモートだとなかなか難しい。放送日まで時間に余裕がある番組ならいいんですが、時間が切羽詰まった状況で修正をかけることもしばしばなので、離れたところにいる人とやりとりをするのは無理だし、物理的にニュースの中身をいじったりするのは現場にいないと不可能。なので、多くの人が同じところに集まることになるんです。テレビ局は3密からは絶対に逃れられないでしょうね」

週刊新潮WEB取材班

2020年5月10日掲載

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