「愛子天皇」「女性宮家」否定の民間研究会 皇室問題の重鎮参加で波紋

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 天皇陛下の国事行為として4月19日に行われる予定だった秋篠宮さまの「立皇嗣(りっこうし)の礼」は、新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言が出されたこともあって延期になった。

政府は2月頃から皇位継承に関して有識者への意見聴取を始めており、「立皇嗣の礼」が終わるのを待って安定的な皇位継承策についての議論を本格化させて論点をまとめる予定だった。論点整理はやや先延ばしになる可能性はあるが、それでも4月中旬に「産経」「読売」などが相次いで報じたように、政府の内閣官房の担当者が有識者に対して「戦後に皇籍離脱した旧皇族の子孫の復帰の是非」などに関して意見を求めるなど新しい動きも出ている。

 そうした中、日本大学名誉教授の百地章氏などの学識者による民間の研究会が4月19日付で「皇位の安定的な継承を確保するための諸課題」と題する見解を発表した。平成29(2017)年から保守系の学者を中心に、御代替わりに関する問題で論議を重ねて来た「時の流れ研究会」(会長=高山享・神社新報社社長)がこれをまとめた。

 議論となっている「女性天皇(愛子天皇)の可能性」や「女性宮家創設」について明確に否定する一方、「元皇族の男系の男子孫(男の子孫)による皇族身分の取得」と「現宮家の将来的な存続を可能にする皇族間の養子」を可能にする法整備を提言している。

 今回の発表で注目されるのは、その内容もさることながら、これまで「愛子天皇」や「女性宮家」を容認する立場だった所功氏(京都産業大学名誉教授、モラロジー研究所客員教授)が、この研究会の主要メンバーとして加わっていることだ。同氏は平成17(2005)年に小泉内閣の有識者会議が行ったヒアリングでは、悠仁(ひさひと)親王誕生の前とはいえ、「女系天皇」についても容認していた。それだけに、皇室問題について法制度から歴史・文化にまで高い見識を有する所氏が参画した研究会の「提言」は、波紋を呼んでおり、今後の議論に大きな影響を与えることが予想される。令和の時代になって、流れは少しずつ変わりつつある。

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