早くも「マスク」の値段が下がり始めたウラ事情 再び高騰の可能性も…

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行き場を失ったマスク在庫

 先に説明したとおり、世界のマスクのおよそ半分を生産しているとされているのが、中国です。その中国でも、コロナ禍の当初は、自国民にマスクが行き渡ることを優先していました。そのため、3月いっぱいまでは輸出を規制しており、国外に出すことはほぼない状況だったのです。その間にも、アジア圏以外で着ける習慣がなかったマスクの需要は、欧米を中心として世界的に高まっていた。当然、中国の業者としてもこの手を逃すはずがない。もともとマスクを生産していた業者とは別に、新規参入する業者も現れました。その数、9000社とも言われています。そうして作られたマスクは4月1日から中国国外に輸出されました。

 ところが、こぞってマスクビジネスに参入した業者たちの目論見は外れてしまいます。もともと中国のマスクの輸出先は、8割が日本といわれています。各業者とも、日本のドラッグストアなどの小売店に売り込むつもりでいたところ、その日本の小売店が、仕入れてくれないのです。

 理由としては、まず、先に紹介したように「バブル価格」での販売が批判されるからです。実際にスーパーマーケットチェーンの「イズミヤ」が、50枚入りマスクを税抜き3980円で販売した際には、ネットで炎上を招きました(イズミヤ事件、と私は呼んでいます)。各社ともイズミヤの二の舞になることを恐れ、値上がりしたマスクを販売しなかったのです。

 そしてもうひとつの理由が「マスクの品質が担保できない」という点。コロナ以前からマスクを製造していた業者であるならともかく、新規に参入した業者ともなれば、製造するマスクの「品質」が確かなものか否か、わかりません。政府の「アベノマスク」ですら回収騒ぎが起きたくらい、マスクの品質管理はなかなか難しい。きちんとしたクリーンルーム(防塵室)で製造されている保証はないわけで、そうした製品を、ドラッグストアでは売りにくいのです。

 こうして行き場を失ったマスクがまず行き着いた先が、新大久保やアメ横でした。そこでも捌けなくなり、ある意味「余剰」となったマスクは値を下げ、そしてほかのエリアやインターネットでも売られるようになった、というのが現状なのです。

 中国でビジネスを展開する業者に取材をすると、当初は1枚50円でおろすつもりだったマスクの価格は、買い取り枚数にもよりますが、30〜35円程度になっているといいます。

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