「皇位継承議論」先送りも… ついに動き出した「旧皇族男子」復帰の隠密シナリオ

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 秋篠宮さまが皇位継承順位1位であることを内外に示す立皇嗣の礼。さる14日には閣議で“当面延期”が正式決定されるに至った。

「饗宴の儀を取りやめ、中心となる『立皇嗣宣明の儀』の参列者を大幅に減らすなど、規模を縮小して行う予定でした。ところがコロナはいっこうに終息せず、4月に入って実施はがぜん不安視されてきました。9日には、秋篠宮ご夫妻が皇居でリハーサルまでなさっていたのですが……」(宮内庁担当記者)

 政府は、コロナの猛威が収まるまで期日は定めない方針で、すなわち“無期限延期”となったわけである。

 これに伴い“立皇嗣の礼の後に開始する”とされていた「安定的な皇位継承を確保するための議論」も、大幅に先送りされる形となった。全国紙デスクが言う。

「そもそもは上皇さまのご退位にあたり、2017年6月に成立した退位特例法の付帯決議で『速やかに検討する』ことが政府に求められていました。が、男系男子の皇統維持を強く主張する保守派を支持層とする安倍総理は、一方で世論調査のたび約8割にのぼった『女性天皇賛成』の声を脅威に感じてきたのです」

 ともすれば国論を二分しかねず、

「板挟みになった政権は、同じく検討を求められていた女性宮家創設ともども議論の緒につこうとせず、御代替わり後もひたすら先延ばしにしてきました」(同)

 そんな中、4月16日にはこんな報道が同時になされた。

〈皇位継承 旧宮家復帰 有識者に聴取〉(産経朝刊)

〈旧宮家の皇籍復帰 聴取 政府、有識者に〉(読売朝刊)

 本格的な議論に先駆け、政府の担当者が個別に意見を聴取。1947年10月に皇籍離脱した旧11宮家の子孫について、復帰に関する見解を有識者に尋ねているというものだった。

「安倍政権では、女性宮家の容認は、歴史上例のない女系天皇へと繋がるという危機感が強い。総理自身が、皇統維持のためには旧宮家の男子の皇籍復帰が望ましいという考えで、今回の動きも、それに沿ったものとみられます」(同)

 実際に首相は、かつて月刊誌に次のような内容の論文を寄せていた。

〈女性宮家を認めることは、これまで百二十五代続いてきた皇位継承の伝統を根底から覆しかねない〉

〈敗戦という非常事態で皇籍を離脱せざるを得なかった旧宮家の中から、希望する方々の皇籍復帰を検討してみてはどうだろうか〉(いずれも「文藝春秋」2012年2月号)

 今回、報じられた議論の「地ならし」については、すでに2月10日の衆院予算委員会で菅官房長官が、

〈事務方において有識者から個別にお話を伺うなど、最近の議論の動向などを踏まえて検討を行っている〉

 などと認めていたもので、旧宮家復帰についての意見聴取もその一環であるのだが、一方で菅長官は同日、こんな答弁もしていた。

〈(旧宮家の子孫の方々に皇籍取得の意向を政府として確認したことは)ありません〉

〈(これからも)考えていません〉

 もっとも、さる官邸関係者によれば、

「長官はあくまでその時点での現状報告をしたに過ぎない。現に『これからも考えていない』という答弁に前置きして『まずやらなければならないのは国会の付帯決議、それに基づいてのことだと思っている』と述べている。従って、今後の状況如何で方針が変わっても、何ら問題はありません」

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