聖教新聞の配達を読売新聞が担当することになったワケ 学会と読売に聞くと…

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悲しき黄昏かはたまた…

「結局、熱心な世代の高齢化という問題につきます」

 そう諦め顔で語るのは、ある古参学会員だ。

「池田名誉会長のお姿に直に接して入会した世代は、もうほとんど高齢者。身体の具合も悪く、亡くなっていく人も多い。他方、若い世代は『親が学会員だったから』というだけで入会した2世、3世が少なくなく、学会の活動にもそう熱心ではありません。こうした状況は近年、公明党の得票数がどんどん落ちていることなどにもつながっています。『無冠の友』ももう、なり手がないわけです。今回の茨城県で始められる読売への販売委託は、状況を見ながら今後、全国に広がっていくのではないでしょうか」(同前)

 なるほど、巨大宗教団体の悲しき黄昏を象徴する話なのである。

 とはいえ、「必ずしも創価学会にとって悪い話でもない」と指摘する向きもある。ある全国紙記者の言。

「聖教新聞は印刷を自前で行っておらず、全国さまざまな新聞社の印刷所に委託しています。中でも毎日新聞系列の印刷所で刷っている数は極めて多く、創価学会と毎日の蜜月関係は有名。2009年3月には毎日新聞に池田大作氏の寄稿が載り、物議をかもしたこともありましたし、系列の毎日新聞出版からは、池田氏の著書が出版されている。いまや毎日にとって学会は、ぞんざいに扱うことができない大口顧客であり、学会に関する批判的な記事など書けるはずもありません」

 社会の公器たる新聞に好意的な取り上げ方をされる。これが新興宗教たる創価学会にとってどれほど有難いことかは想像に難くない。

「今回の聖教新聞の配達委託で、読売が同じ道をたどることになるのは明白でしょう。読売ですら部数減には歯止めがかからず、中でも頭を抱えているのが全国に整備した販売店をどう生きながらえさせるかということ。読売は2019年の1月1日に25年ぶりとなる購読料値上げに踏み切りましたが、このときの大義名分も“販売店の労務環境改善のため”だった。そんな中で550万部という大口顧客に読売が牙を剥くことは、不可能に等しい」(同前)

 世の新聞離れが言われる中でも読売新聞の発行部数は809万部と日本一。その紙面に載って、池田大作氏のメッセージが全国に届けられる日も近いのであろうか。

小川寛大(おがわ・かんだい)
雑誌『宗教問題』編集長。1979年、熊本県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。宗教業界紙『中外日報』記者を経て現職。著書に『神社本庁とは何か』(K&Kプレス)など。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月28日掲載

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