【新型コロナ】1回の売上は820円の同僚も…都内の法人タクシーに勤務する運転手の告白

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 当分の間、収束しそうもない新型コロナウイルスの感染拡大で、タクシー業界も悲鳴をあげている。東京都内のロイヤルリムジン(江東区)は、約600人の乗務員全員を解雇すると発表した。政府の緊急事態宣言で外出自粛がさらに進み、タクシー運転手の収入は減り続けている。都内の現役ドライバーに、その惨状を聞いた。

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 ロイヤルリムジンのケースは、全員解雇と言っても、新型コロナの感染拡大が収束すれば、希望者は全員再雇用するという。このまま仕事を続けるより、失業手当をもらった方が収入は安定するという判断のようだが……。

「うちも、運転手を2組に分け、4月16日から30日までと5月1日から15日まで、期間をずらして休業することになりました。休業補償は、過去3カ月の平均給与の60%となっています」

 とは、都内のタクシー運転手(60)である。

 新型コロナの影響は、3月の半ばから出始めたという。

「タクシー運転手は、月に13回乗車します。1回の乗車は、21時間勤務です。その間、最低2時間休息を取ることになっています。私の場合朝10時前に会社に出て、10時に点呼。それから車を磨いて乗車します。翌日の午前5時半までに会社に戻ることになっています。この1回の乗車で、消費税を引いた売上が営業収入になります。普段は1回の乗車で営業収入は5~6万円でした。ところが、3月半ば頃からガクっと収入が落ち、1~1万5000円になってしまったのです」

 タクシーの運転手は、この営業収入を満額貰えるわけではない。

「税金や社会保障費、組合費、それに会社の取り分があります。営業収入の額によって会社の取り分が違ってきます。1回の営業収入が3万3000円を下回ると、手取りは48%。5万2500円を超えると、65%くらいになります。4万円だと、60%弱ですね。新型コロナが拡大する前は、月の手取りが36万円ほどありました。ところが、今年の3月はわずか15万円。これでは食べていけませんよ」

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