「コロナで西洋の時代が終わる」と小躍りする韓国人、それを手玉にとる中国人

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植民地になったことなどない

――確かに「韓国はすごいぞ!」だけで十分。なぜ、「東洋への覇権シフト」までが必要なのでしょうか。

鈴置:「真の一等国」になるには西洋の支配を打破せねばならない、と韓国人が考えているからです。今、韓国では「日本の植民地になったことはない」との歴史改竄(かいざん)が始まっています。経済成長に成功したものの、植民地になった過去を持つ限り、「一等国とは見られない」との思いからです。

 いわゆる「徴用工」問題で日本側にカネを支払わせようとするのも、そのためです。「植民地の国民ではなかったのに不当に働かされた」と言い張る。もし日本の企業なり政府がカネを払えば「韓国は植民地でなかった、と日本が認めた」と主張する作戦です。

 ただ、それに成功しても「植民地ではなかった」と世界が認めてくれるわけではない。韓国人は「上海に設立した臨時政府が日本と戦っていたから植民地ではなかった」と主張します。

 しかし、日本と西側戦勝国が1951年に調印したサンフランシスコ平和条約では、韓国は戦勝国はもちろん、交戦国とさえも認められなかった。

 朝鮮半島は日本の植民地だったと「西洋」が認識していたからです。結局、韓国が歴史の改竄を実現するには「西洋による世界支配」を終わらせるしかないのです。

欧州で繰り広げた帝国主義批判

――それにしても、「植民地ではなかった」ことにしようとは気宇壮大な作戦ですね。

鈴置:そこまでいかなくとも、韓国は「不法で不当な植民地支配」への謝罪要求を外交カードに活用する準備を進めてきました。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は2013年11月に英・仏などの欧州を歴訪した際、各地で日本の植民地支配を非難しました。日本の同盟国である米国は難しくとも、欧州なら対日批判に同調させやすいと考えたのでしょう。

 この試みは完全に空振りに終わりました。作家の塩野七生氏は朝日新聞のインタビューに答え、以下のように語りました。2016年5月25日付ですが、拙著『米韓同盟消滅』の第3章「中二病にかかった韓国人」に引用してあります。

・ヨーロッパは旧植民地帝国の集まりみたいなようなものだから、日本の優に十倍の年月にわたって、旧植民地に言わせれば、悪事を働き続けた歴史を持っているのです。それでいて、謝罪すべきだなどとは誰も考えない。
・そういう国々を歴訪しながら「日本は悪いことをしていながら謝罪もしないんです」と訴えて、効果があると考えたのでしょうか。私には、外交感覚の救いようのない欠如にしか見えませんが。

 塩野七生氏の著作は韓国でも翻訳され、人気を誇っていた。しかし朝日新聞のこの記事以降、「韓国の公共の敵」と見なされました。西洋が力を持っている限り、日本に植民地支配を謝罪させるなんて無理だぞ――と言いわたされたと韓国人は考えたのです。

「戦勝国」の称号に釣られた韓国人

――ここでも「西洋の厚い壁」にぶつかったのですね。

鈴置:その韓国人の屈折した心を中国人は見抜いています。折に触れ、そこを揺さぶっては米韓の離間を図ります。

 2015年9月、中国は抗日戦勝70周年記念式典(抗日式典)を開きました。一番の見せどころは天安門広場での軍事パレード。中国が軍事的にも米国に匹敵する存在になったのを示すのが目的でした。

 意図があまりに露骨でしたから、国家元首やそれに準じる高官を式典に送った西側の国は皆無。しかし韓国の朴槿恵大統領は米国の警告を無視して参加しました。

 当然、米韓関係は悪化し、同年10月にワシントンで開いた米韓首脳会談後の会見では、オバマ(Barak Obama)大統領が朴槿恵大統領の前で韓国の「離米従中」を非難しました(『米韓同盟消滅』第2章「『外交自爆』は朴槿恵政権から始まった」参照)。

――保守の朴槿恵政権がなぜ、米国に叱られるような判断ミスをしたのですか?

鈴置:「抗日戦勝70周年記念式典」という名称に釣られたのです。これに大統領が参加すれば、戦勝国と認められるような気分になったわけです。

 当時、参加に反対した韓国メディアは保守系を含め皆無でした。保守中の保守メディア「趙甲済ドットコム」も大統領の参加に好意的でした。国中が「戦勝国認定」――つまり「植民地になったことはなかった」という幻想に酔ったのです。

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