東京都がネットカフェに休業要請  一番困るのはネットカフェ難民かと思いきや…

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行き先は路上生活者

「ネットカフェ難民の大半は男性。女性が少ないのは、彼女たちは風俗で働いているからです。女性がネットカフェ難民になると、売春までやってしまうんですね。中には、男に声をかけて、ラブホテルで寝泊まりする『ラブホ難民』もいます」

 と解説するのは、『東京貧困女子』(東洋経済新報社)の著書で知られるノンフィクションライターの中村淳彦氏である。

「ネットカフェ難民は、おとなしくて真面目な男性が多い。コミュニケーションが上手く取れず、友人がいない。そして、福祉制度のことを何も知らない情報弱者です。彼らは工事現場などで、日給8000円くらいで働いています。ネットカフェは、1泊すると1800円ほどかかります。あと、食事代、携帯を持っていると通信料金もかかるし、なんやかんやで1日5000〜6000円になってしまう。手元には、お金ほとんど残りません。毎日仕事があれば別ですが、これではネットカフェ難民から抜け出せませんよ。アパートの敷金礼金を貯めることは不可能に近い」

 2008年のリーマンショックの時、ネットカフェ難民はどうなったのか。

「リーマンショックで派遣切りが行われたので、NPOの人たちが日比谷公園で、年越し派遣村を開設して職を失った人を収容しました。ところが、実際、派遣村に来た人は、派遣切りにあった人より、ホームレスが多かったようです。リーマンショックでネットカフェ難民がホームレスになったケースも多かったので、今回のコロナ禍では、日比谷公園とか新宿御苑などに派遣村ができるのではないでしょうか。都内の公園に路上生活者となったネットカフェ難民が溢れることも考えられますね」

 先にも述べたように、ネットカフェ難民の大半は男性。しかも彼らは、普段は路上やファーストフード、サウナなどで寝泊まりすることも少なくない。となると、今回の休業要請で、それほど大きな影響を受けることもないという見方もできるが……。

「リーマンショックの時と違うのは、新型コロナウイルスの蔓延で、歌舞伎町や飛田新町は売上が9割減で、ほとんど壊滅状態にあることです。となれば、風俗で働けなくなった女性がネットカフェ難民化しますよ。とはいえ、ネットカフェが閉店するとなれば、路上生活者になるケースも、今後は出てくるのではないでしょうか」

週刊新潮WEB取材班

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