なぜ我が子2人を殺めたか 「タイ人妻」バンコクの実母が告白する「嫁姑地獄変」

国内 社会 週刊新潮 2020年4月9日号掲載

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 兄妹2人の幼い命を奪ったのは血を分けた実母だった。国際結婚で来日したタイ人女性が殺人犯となった事件。孫を亡くして被害者となった義母と、バンコクに住む容疑者の母が共に重い口を開いた。明かされたのは、事件の背後に渦巻く嫁姑の確執である。

 今や親が我が子を殺める事件は珍しくない。子供へのDVも枚挙に遑(いとま)がないが、2人の幼い命が失われたこの事件は、より一層歪(いびつ)な事情を抱えている。

 3月23日午前11時20分頃、東京都武蔵野市に建つマンションの2階の一室に警視庁の警官が急行した。室内には2人の子供が血を流した状態で、倒れているのが発見されたのである。

 亡くなったのは、中学1年の古川絢一(じゅんいち)くん(13)と小学4年の紗妃(さき)ちゃん(10)。警視庁が殺人の疑いで逮捕したのは、2人の子の実母で、タイ国籍のフルカワ・ルディーポン容疑者(41)だった。

 社会部記者が解説する。

「現場近くの吉祥寺駅東口交番に、彼女が自首したことで事件は発覚しました。その日の午前7時半頃、彼女は自宅の台所にあった包丁と果物ナイフで、就寝中の長男長女を突き刺して殺害したのです」

 遺体の手には傷があり、母親の刃から逃れようとした痕跡が残されていた。

「容疑者は子供と3人暮らし。単身赴任中の夫から離婚を切り出され、親権を巡り揉めていました。もう子供には会えないと自暴自棄になり殺害したとみて、捜査が続いています」(同)

 ルディーポン容疑者は自首する前、近所でカーネーションの花束を買い、遺体の傍らに手向けていた。

 自ら手を下した直後、死者を悼む姿は理解に苦しむが、彼女は家族に激しい愛憎の念を抱えていたのだ。

「娘が結婚を機に日本へ渡ってから、14年経ちます」

 と話すのは、ルディーポン容疑者の実母(62)だ。バンコクで生まれた容疑者は、父が現地で警察官を務める家庭に育ったという。

「娘は大学で英語を専攻し、日本語も勉強したので片言くらいは喋れます。卒業後はタイの宝石店に勤め、今の夫とは2005年に香港の宝石展示会で出会ったことがきっかけで恋仲になり、その年の8月にバンコクの五つ星ホテルで挙式後、日本で生活を始めたのです」

 来日した彼女は、夫の実家である吉祥寺の宝石店で義母と共に働き始める。

 事件現場の近隣住民は、

「グラマラスで笑うとチャーミングな女性でしたね。すれ違えばきちんと日本語で挨拶して、テキパキとして仕事ができる雰囲気。赤いスーツを纏い身なりもしっかりしていた。地元でも働き者と評判でしたよ」

 別の住民に言わせると、

「お子さんと仲良さそうに近所を歩くこともあったけど、とにかく忙しそう。お盆に丼をのせて宝石店とラーメン屋を往復させられたり、いつも商店街を足早に駆けていました」

 再びルディーポン容疑者の実母に聞くと、

「娘は休みが全くないそうで、正月返上で365日、ずっと働いていた。朝10時前に出勤し、接客から雑用までこなして23時頃に帰宅。深夜1時頃に帰ることもあり、それから子供たちの弁当を作っていた。タイへ電話をかけてくるのはいつも深夜でしたが、当初は弱音を吐かず、夫の悪口も聞いたこともなかった」

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