特効薬「アビガン」だけじゃない、新型コロナに“効く”医療事情

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4月から5月にかけて

「発表ずみのデータを見るかぎり、新型コロナウイルスに最も効果がありそうなのは、アメリカで効果が認められたレムデシビル。2位はクロロキン、アビガンは3位で、気管支ぜんそくの薬、シクレソニドが4位。レムデシビルとクロロキンは、中国の新型コロナの診療指針にも“効果がある”と書かれています」

 数々あるのである。いずれも細胞内に侵入したウイルスを殺す飲み薬だという。一方、ウイルスが細胞に入るのを防ぐ点滴薬が膵炎(すいえん)の治療薬フサンで、

「副作用がなく、予防的に点滴する道もある」

 そう語る北村医師は、血液検査にも期待をしているという。それは、

「クラボウが販売し、4月以降、一般の病院でもできるようになるはずです。15分程度で血中の抗体を判定し、すでに感染して抗体を持っている人がわかるので、そういう若い人を優先して、医療機関や介護施設で業務に当たってもらうことも可能になる。10回分で2万5千円とお金はかかりますが、ある地域の小学生を丸ごと検査し、何%が感染し、何%に症状があるなど、簡単に調べられる。するとこの病気の正体がもっとわかってきます」

 そして、こう続ける。

「検査の結果、日本人の半分くらいは、無症状や自覚症状がないまま感染していた、ということもあり得ます。想定よりはるかに感染者数が多く、その大半に抗体ができているとわかれば、ロックダウンなど必要ありません。また、抗体から抗血清という薬を作ることもでき、これは重症者に非常によく効きます。“PCR検査をもっとやれ”と訴えたい方は、“血液検査を早く導入しろ”と主張してもらえるといいのですが」

 ところで、治療薬や血液検査が登場しても、新型コロナウイルスの性質は油断ならぬ、と考える人もいるだろう。治ったと思っても再び陽性になるケースもあり、持続感染しやすいのではないか、と指摘されているためだ。しかし、松本教授は次のように見る。

「一部のウイルスは体内に生存し続ける場合もあります。たとえば水痘は治癒後もウイルスが体内にい続け、免疫力が低下すると増殖して帯状疱疹を起こします。新型コロナウイルスも症状の改善後に再びウイルスが増殖し、発熱や呼吸器症状が復活する場合があります。ただし、水痘と異なり、抗体ができたら再び発症する可能性は低くなります」

 一方、矢野副院長は、

「検査の問題だと思う」

 と、こう説明する。

「PCR検査では鼻に綿棒を入れ、付着した検体のRNA(リボ核酸)からDNAに変換させ、増殖させて検査をしますが、RNAからの検査では、死んでいるウイルスもウイルスと検知して、陽性になることが十分あり得るのです」

 いずれにせよ、さほど気にすることはないというのだ。ここはやはり、治療薬と血液検査に期待したいが、北村医師はさらなる希望を照らしてくれる。

「紫外線を30分当てると、コロナウイルスを無害化できることがわかっています。5月末から6月ごろには十分な量の紫外線が射し、ウイルスが終息する可能性があります。また、七つのコロナウイルスのうち風邪のウイルスである四つは、米CDC(疾病予防管理センター)のデータで、季節性であることがわかっている。MERSは人から人にはあまりうつらないので除外して、SARSはよくわからないところがありますが、11月に流行して5月には終息した。今回のコロナウイルスが一番似ているのはSARSですから、同様に5月にはピタリと消えてしまう可能性もあります」

 4月から5月にかけ、暗いトンネルの先に強烈な光が射す可能性は、低くなさそうである。

週刊新潮 2020年4月9日号掲載

特集「『コロナ戦線』異状あり 実用化はいつか 特効薬『アビガン』の謎」より

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