『セブンティウイザン』対談 古希間近の妻が「私、妊娠しました」【竹下景子×小日向文世】

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今子供ができたとしたら

小日向 竹下さんはね、出産シーン後は、どんどん若くどんどん綺麗になっていったんですよ! 竹下さん、ママになって本当に楽しかったんだなぁって横で見ていて思った。

竹下 楽しかった。それは間違いなく楽しかった。やっぱり自分が母親になったときのことが懐かしく思い出されました。ドラマの中でもう一回、あの体験をする。それで生き生きしているように見えたのかもしれません。この歳でそんなチャンスなかなかないかなと思いますね。私は10年ほど前、55歳のときに時代劇で出産シーンがあって、もうこれでないだろうな、卒業だなと勝手に思っていましたから。改めて振り返ってみると、もう一度子育てをするってことは、この長い人生の中で、「第二の青春」なのかもしれません。私も小日向さんと青春ドラマをやっているような気持ちになりましたもの。

小日向 竹下さんって本当に優しいのよ。常に冷静で穏やかで怒ったりしない。愚痴もひと言も無い。一方で僕は現場で一番年上だったもんだから、文句言ったり、駄々をこねたりしていました。もう僕を怒る人がいなかったからね(笑)。でもそういう歳になったことが自分でもショックでしたよ。いやー本当に歳取ったなぁって。普段から老いは確かに感じていて、「あれ、今薬飲んだ?」とか、目が見えづらいな、とか日々感じますよね。だからこの歳で子供ができることがいかに大変なのか、実感できたんです。出産・育児の大変さはもちろん、子供が大きくなれば自分はもっと歳を取ってしまう。子供を一体どうしたらいいのか……。そんな将来への不安も非常にリアルに描かれていますよね。

竹下 私も、「喪中だから年賀状を控えたい」というお知らせを頂くことが増えてきたりして、もうそういう歳なのねとは思うのですが、もし仮に今子供ができたとしたら……躊躇なく産むと言いますね。最初この話を読んだときは、いわゆる一般常識と照らし合わせてどうなのかなぁと心配する気持ちがあったんですが、この役を演じた今は気持ちが変わっています。命のパワーや未来へのバトンというものを意識するようになりました。

小日向 もちろん僕らの世代でこういう経験をすることはまずありませんよね。でも、このドラマを見ていただいている時間だけでも、その体験を味わってもらえたらなぁと思います。生まれたての命に、ものすごいパワーをもらえるはずですから!

週刊新潮 2020年4月9日号掲載

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