アメリカ歴代大統領の通信簿 人気投票ではなく実績で5段階評価

国際 2020年4月4日掲載

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 アメリカ大統領選挙は、現職のドナルド・トランプと前副大統領のジョー・バイデンの戦いになりそうな気配だ。新型コロナウイルス流行という予想外の事件が起きたことは、自慢だった経済の好調さを吹き飛ばし、トランプ大統領にどちらかといえば不利な材料と見る人が多い。だが、常識にとらわれないアイディアを出して実行するのは得意な人だから、常識外れの大胆な景気刺激策をとって喝采を浴びる可能性もあり先行きは不透明である。

 これから、シーソーゲームが続くだろうが、アメリカ国民には、時事的な問題に振り回されず、人気投票に堕することもなく、世界にとってもアメリカにとっても好ましい大統領像はどんなものかよく考えて投票して欲しい。

 私はかつて『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)と『アメリカ歴代大統領の通信簿』(祥伝社黄金文庫)を書き、それぞれ改訂版も出しているのだが、そんなときに政治家の評価基準としているのは、(1)優先的に取り組むべき課題が何であるかを正しく把握したか、(2)その課題を解決するための方策を正しく立てたか、(3)それを実行する政治力を発揮したかどうかということだ。

 この種のランキングでしばしば勘違いしていると思うのは、本来は首相や大統領としての任期中に行ったことで評価すべきところを、人間として魅力的かどうかとか、その人の人生を通じての仕事で評価していることだ。

 たとえば、アメリカの第39代大統領ジミー・カーター(1977~81)は離任ののちに世界平和に貢献しノーベル平和賞を獲得して「最高の元大統領」と皮肉られたが、大統領時代の外交はお粗末だった。第18代大統領ユリシーズ・グラント(1869~77)の軍人としての栄光や第3代大統領トーマス・ジェファーソン(1801~09)の独立宣言への貢献も大統領としてのものではないから考慮すべきでない。

 反対に、任期中に世界に良い影響を与えたか、状況がどれだけ難しいものであったのか、いかに得難い才能や業績があったか、は考慮しなくてはならないと思う。

 また、大きな成果があっても、誰がやっても遅かれ早かれそうなったというのと、その人がいなければまったく違う展開になっていたかでは大違いだ。

 歴代アメリカ大統領でとくに偉大な存在は誰かと聞くと、アメリカ人でも日本人でもワシントン、ジェファーソン、リンカーン、ウィルソン、フランクリン・ルーズベルトなどを上げる人が多い。しかし、これでは世界史の教科書に出てくる有名人を並べただけだ。戦争を始めた大統領ばかりなのもよろしくない。

 静かにしておくべきときに余計なことをしないのも、政治家の美徳である。たとえば、田中角栄が失敗したのは、「日本列島改造」が間違っていたのでなく、金余りという金融情勢であるにもかかわらず、長年の夢だった日本列島改造を実行に移すのを我慢できなくてインフレを引き起こしたことである。

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