コロナ対策で「文在寅」の人気急上昇 選挙を控え「韓国すごいぞ!」と国民を“洗脳”

鈴置高史 半島を読む 国際 韓国・北朝鮮 2020年3月31日掲載

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総選挙は延期しよう

――結局、新型肺炎を巡る戦いでは政権が完勝したのですね。

鈴置:韓国の選挙は突然に風向きが変わりますから、断定はできません。が、今のところは、新型肺炎は左派に追い風となっています。

 保守を代表するメディア、朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問は「4月15日、『大統領の愛国心』と『国民の愛国心』 差を見せよ」(3月28日、韓国語版)で「天変地異やその他やむを得ない時は選挙を延期できる、と選挙法にある」と書きました。

 総選挙で保守が負けそうだ。新型肺炎の蔓延を理由に選挙を延期するしかない――と心情を吐露したのです。保守の追い詰められた状況がよく分かります。

 保守系紙とはいえ普通なら、選挙前にこれほど露骨に保守に肩入れする記事は載せません。姜天錫・論説顧問にすれば、今回ばかりは違うということでしょう。

 4月の総選挙で保守派が過半数を確保しないと、左派が司法を思いのままに操る組織、高官不正捜査庁が発足してしまうからです。

 この組織は裁判官や検察官を狙い撃ちにします。左派政権が司法も握るわけで、その永久独裁に道を開きます(「文在寅政権が韓国の三権分立を崩壊させた日 『高官不正捜査庁』はゲシュタポか」参照)。

左派独裁、そして「ベネズエラ」

――韓国はどこへ行くのでしょうか。

鈴置:新型肺炎の先行きは不透明。大邱以外の地域では感染者が増え続けています。西欧から入国した人による感染の拡大――第3波も始まりました。

 通貨危機に陥る懸念も増しています(「新型肺炎発の韓国の通貨危機 米国の助けも不発で日本にスワップ要求…23年前のデジャブ」参照

 状況は極めて流動的ですが4月の総選挙で左派が勝てば、ベネズエラのように内紛が激化する可能性が高い。左派の永久執権体制に対し、保守が死に物狂いで抵抗するのは間違いないからです。

 後世の韓国史家は「新型肺炎が起きなければ、韓国は崩壊しなかった」と書くことになるのかもしれません。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

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