新型コロナ「PCR検査」拡大で日本は韓国の二の舞 医師が慄く院内感染、医療崩壊…

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感染者が爆発的に増加

 かつてSARS、MERSが大流行したあと、感染者に対応できる病院を増やしたり、十分な防護装備の配布を求めたりする声が上がった。隔離治療のためアメリカのような「病院船」を建造すべきだとの議論も起きた。しかし、それらに耳を傾け、するべきことをしなかった行政の怠慢が今、命の犠牲と混乱を呼んでいるのだと思う。

 また、厄介なのは、その検査の精度についても疑問符がつくことだ。PCR検査の精度には、陽性を拾う「感度」と陰性を拾う「特異度」という指標がある。例えば、1万人を検査し、この中に100人の感染者が隠れているとする。検査で、陽性を95人しか拾わないなら感度95%となる。あとの5人は偽陰性者(実際は陽性)だ。特異度98%なら感染者100人を除いた9900人のうち、9702人が陰性と出て198人が偽陽性者(実際は陰性)と出る。

 この場合、偽陰性者は街へ出て感染を広げ、偽陽性者は入院させられ医療システムに余計な負荷をかけることになる。

 PCR検査は、採取したウイルスのDNAを増幅、その配列の形状を見て判断するもので、現在は結果が出るまで6時間ほどかかる。さらに、このDNAが一定量増えないと陰性となる。

 映画に出てくるような、麻薬事件で押収した粉に試薬を垂らして色が染まったら逮捕、という検査とは全く違うのだ。新型コロナウイルスの検査精度について、

「現在、PCRの精度は90%に届かないとも聞きます。一般にはなかなか理解しにくいかもしれませんが、絶対正確な検査というものはないのです。この点からも社会的混乱が生じる可能性があります」(先の医師)

 聞けば聞くほど、難しい問題だと考えこんでしまう。実際、今回、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客だった男性の場合、2月14日から3月3日までの間、7回PCR検査を受け、「陽性、陽性、陰性、陽性、陽性、陰性、陰性」になったと報じられている。検査の精度が影響したのか。先の医師によれば、粘膜採取の綿棒を刺した場所(喉か鼻か)や力の入れ具合によっても陰性か陽性かが変わってくるという。

 しかも、これだけ不確実なPCR検査を受けるため、逆に感染の危機に晒される可能性もある。最近、韓国ソウル市内にあるコールセンターで120人以上の感染者が出た。すぐに検査が始まったが、ニュース映像ではビル前に張られたテントで検体採取が行われ、それに向かって長蛇の列が出来ている。これではウイルス保有者からうつされて、さらに感染が拡大する危険性が高い。その韓国では感染者が8千人を超えた。かの国では広く検査を行ったために、医療機関へ健常者や単なる風邪の人が殺到し、感染者が爆発的に増加。検査と軽症者診療に人手を割かれ、重症者への適切な治療はぎりぎりの状況と聞く。また、親中の文在寅政権は、湖北省での滞在歴がある外国人について入国規制しているが、なぜ、対象地域を中国全土に拡大しないのかと不安と不満の声が上がっている。ちなみに日本人は地域の別なく、入国制限の対象だ。

 普通の暮らしを続ける限り、逃れる術がない新型コロナウイルス。もともとウイルスというのは、細菌のように抗生剤で死滅することがない。抗ウイルス剤というのは、ウイルスの増殖を止めるだけで、その間に抗体ができ退治するというもの。ところが、今のところ、新型コロナウイルスには抗ウイルス剤がない。頼りは、ヒトが持つ抵抗力(免疫力)だけということだ。

 そこで免疫学の権威、奥村康氏を訪ねた。順天堂大学医学部長を経て、現在は特任教授という立場にある。

「新型コロナウイルスは、通常の季節性インフルエンザと比較すれば、そんなに恐くないかもしれません。だいたい1週間で抗体ができ、快方に向かう一般的なウイルス疾患のようです」

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