新型コロナ「PCR検査」拡大で日本は韓国の二の舞 医師が慄く院内感染、医療崩壊…

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 今や“人類の敵”新型ウイルスに対し、抑制的とされる日本の検査態勢は岐路を迎えている。今後、対象を広げれば、韓国の二の舞になるのは明らかだからだ。加えて、院内感染、医療崩壊を招きかねないという現場の声をジャーナリストの石高健次氏がお届けする。

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 新型コロナウイルスのPCR検査について、保険適用が始まった。自然、今後は陽性、つまり感染者が一挙に増えることになる。

「一般の人は特に怖れなくていいですが、医師は恐いですよ」

 こう本心を吐露するのは、遺伝子治療で博士号を取得し、現在は大阪府内で臨床と研究を行う筆者の旧知の医師だ。

 現場の医療従事者が不安を漏らすのも無理はない。実際に北海道でインフルエンザを疑われた患者を診察した後に、医師が新型コロナに感染していたケースがあった。インフルの簡易検査キットを使用したのだが、患者は後に新型コロナの陽性者と判ったのだという。

「綿棒を鼻とか喉に突っ込むと、反射的に思い切りくしゃみをする人が多い。医師は、まともに飛沫を浴びます」(同)

 政府は、2月25日、感染者の増加に応じて予防策を整えたうえで、一般医療機関でも診察を行うようにするとの方針を出している。加藤勝信厚労相も、感染がさらに拡大した場合、感染者を一般病院で受け入れることも検討課題としている。

 この医師が続ける。

「実は、PCR検査が広く行われることによって医療崩壊をもたらす可能性が高いのです」

 なぜかといえば、

「院内感染を起こさないシステムを持つ感染症指定医療機関が圧倒的に足りないからです」(同)

 彼のクリニックのある大阪府内には六つの指定医療機関があるが、合計で78床だという。ちなみに東京は12機関、118床。全国でも1871床しかないのが現状だ。

 医療現場での神経戦の一例として、肺機能が低化した際に重症患者に使用する人工心肺装置がある。一部報道では、今回のコロナウイルスで23人が装置を付けられ、うち12人が回復したとされるが、

「患者の肺に酸素を運んだあと装置から吐き出される空気は、大量のウイルスを含んでいます。また、喉に詰まった痰の吸引器からもそうした空気が吐き出され、病室内は極めて濃厚なウイルス密集地帯と化します」(同)

 しっかりした防護装備、つまりサージカルマスク、目の覆い、ガウン、手袋などがないと、一瞬の隙に感染してしまう。病室自体は、外部より気圧を下げた陰圧室なので廊下などへウイルスが漏れる心配はないが、患者に接するスタッフには危険がつきまとうのだ。

 PCR検査で検体を採る医療スタッフだけでなく、検査に従事する者も検体=ウイルスを目の前で扱うという危険がある。

「医療スタッフ用の防護装備は今でも不足していますから、大変な混乱を呼ぶのでは、と心配です」(同)

 大阪府内ではすでに感染症指定医療機関の78床に対し、感染者は100人以上。大阪と京都では医療者向けのマスクすらかなり不足しているようだ。

 危惧すべきことは、まだある。

 今後の検査で、感染者、重症者が増え、医療機関に収容されれば、そちらへ医療リソースが振り向けられる。さらに、医療スタッフの一人が感染すれば、濃厚接触した同僚たち全員が14日間の自宅待機となる。もうお手上げだ。結果、コロナ以外の重篤な病気を含め、患者が命を落とす事態になれば、まさに医療崩壊である。

 先の医師は、外来診療だけでなく、在宅終末期医療も行っていた。20年ほど前から二十余人の医師とチームを組み、計800人ほどの患者自宅を回っている。

「もし、私が感染したら、濃厚接触者として他の医師たち全員が14日間休まねばならない。その間、代わりに往診する医師がいないのです」(同)

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