日本歴代4位で代表「一山麻緒」は“化け物”だった

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

 一山麻緒――ぜひこの名前を覚えていただきたい。否、いずれ嫌でも忘れられなくなる名前かもしれない。

 名古屋ウィメンズマラソンで一山麻緒(22)が日本歴代4位の2時間20分29秒で優勝し、東京五輪代表最後の一枠に滑り込んだ。

「当日は朝から激しい雨。気温も低く、到底好記録は望めない。我々記者も消化試合のつもりでのんびり構えていたのですが……」

 と語るのはスポーツジャーナリストの満薗文博氏。

「30キロ過ぎから一山が飛び出し、記者室がザワついた。そのまま強烈な走りでゴール。好天なら日本女子初の18分台が出ていたかもしれません。“ついに高橋尚子、野口みずきを超える選手が出た”と思いました」

 まだ22歳。まだ4度目のフルマラソン。伸びしろは計り知れないという。

 大手紙陸上担当記者曰く、

「昨年の東京マラソンで、“初マラソン最高記録を狙っている女の子がいる”と持ちきりの選手がいました。男子中心で高速レースの東京マラソンを初マラソンに選ぶ女子選手は珍しい」

 それが一山だった。あいにくこの日も雨と低温で、大迫傑が途中棄権するほどタフな条件。一山は日本人女子トップながら最高記録を逃した。だが、翌月に行われたロンドンマラソンに出場して好走し、MGC出場権を獲得。そのMGCでは6位に沈み、今回リベンジに燃えていた。

 彼女を助けたのは話題の“ナイキ新厚底シューズ”。

「脚が長い一山は、踵から着地する従来の日本選手のペタペタ走りとまるで違う。むしろアフリカ勢に近い」

 と満薗氏。

「ナイキの厚底は、特に女子選手が履きこなすのは難しいですが、一山の場合、靴を履きこなすというより、一山に合うシューズがたまたま発売されたという感じ。しかも五輪イヤー。“持ってる”選手です」

 このまま五輪表彰台まで駆け上がれ。

週刊新潮 2020年3月19日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。