安倍総理の“一斉休校”に現場の悲鳴 学童保育が“クルーズ船化”するリスク

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豪華客船の二の舞も…

 小学校1年生の女児を学童保育に預ける、東京都渋谷区在住で共働き世帯の40代の父親が呆れつつ嘆く。

「学童保育に今まで以上に多くの子どもを詰め込んだら、感染リスクは高まると思うんです。そうやって感染リスクに晒された我が娘を、うちは両親、娘から見ると祖父母に迎えてもらうことがあります。子どもから、致死率が高い高齢者である70歳の祖父と68歳の祖母にウイルスがうつったらと思うと気が気ではありません。しかも、祖父母宅には90歳の曾祖母が同居しています。曾祖母が感染してしまったら……」

 この父親の困惑はこれに留まらない。

「休校期間中は、学童保育にお弁当を持参するように言われました。共働き世帯にとって、毎日のお弁当作りはしんどい。それに、給食費を払っているのにと思うと、一斉休校は急ごしらえと言うしかありません」

 尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏が指摘する。

「学童保育は普段から大勢の子どもを少ない指導員で預かっていてパンク状態でした。臨時措置とはいえ、これ以上の子どもが来ると現場は崩壊しかねません」

 先の木村氏が後を受ける。

「学校が休みとなり、外に遊びに出る時間が増えて行動範囲が広がった子どもたちがウイルスに感染し、それを学校よりも圧倒的に狭い学童保育の空間で、一日中濃厚接触することによりまき散らしてしまう危険性がある。学童保育がダイヤモンド・プリンセスの二の舞になりかねません」

 尾木氏が続ける。

「学校は休みなのに学童保育は例外という根拠が分かりません。両方とも休みになるけれど、代わりに保護者への休業補償はしっかりと行うという方針を、一斉休校要請と同時に打ち出さなければ、混乱が起きるのも当然です」

週刊新潮 2020年3月12日号掲載

特集「『後手後手』批判が嫌だから『安倍総理』独善のドタバタ悲喜劇」より

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