【新型コロナ】安倍首相から“岩盤支持増”が離反 対応が後手で政権発足以来、最大の危機

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海外メディアの対応に苦慮?

 一般の支持層でさえ安倍首相のリーダーシップに失望しつつある。「安倍応援団」となればなおさらだ。

「インターネットで検索すると、リベラル層が『安倍応援団は“安倍首相が中国に忖度した”と悲憤慷慨している』と指摘したり、保守層が『中国人を入国禁止にしない安倍首相の支持を止める』と書き込んだりしています。新聞各社の急速な支持率下落を見ても、岩盤支持層が不満を持っているのは間違いないでしょう」(同・政治担当記者)

 もちろん官邸は、新型コロナ対策に高い危機感を持っているという。だが、最初の対応の失敗は最後まで付いて回る。ここまで支持率が急落した根本的な理由を、政治アナリストの伊藤惇夫氏に聞いた。

「モリカケ疑惑の時、安倍政権は一致団結し、鉄壁のガードで野党やメディアの追及を抑え込みました。ところが新型コロナウイルスに対しては、政権内部で足並みが乱れている印象が強いのです。理由は安倍政権の体力低下でしょう。『ポスト安倍』が現実味を帯び、そもそも安倍首相がリーダーシップを発揮しにくい状況になってきた。ウイルス問題が起きる前に『桜を見る会』の対応で相当に消耗していたことも大きな要因でしょう」

 更に伊藤氏は「安倍首相自身が、リーダーシップを発揮する場を作っていないように見えます」とも指摘する。

「これまで安倍首相は大きな事態が発生すると、首相官邸でメディアのぶら下がり取材に応じたり、記者会見を開いたりして、首相自身の言葉で国民に呼びかけていました。ところが今回の新型コロナウイルス問題は、1月に国内最初の感染例が確認されましたが、加藤勝信厚労相(64)に一任した場面が目立っています。理由の1つとして考えられるのは、海外メディアの厳しい報道に苦慮しているのではないでしょうか」

 特に東京五輪を目前に控えているのは大きいだろう。安倍首相の立場からすると、自身の発言が批判的な文脈で全世界に報じられるデメリットは看過できないはずだ。

「結果として、安倍首相はリーダーシップを効果的に演出できる場面がなくなってしまいました。内外への発信力は低下し、有権者は安倍首相が新型コロナウイルスに振り回されているような印象を持ちつつあります。自民党支持者でも、特に保守的な層が安倍首相に失望するのは、ある意味で当然でしょう」(同・伊藤氏)

 第2次安倍内閣は12年12月26日に発足した。あの日から7年2か月が経過した。最大の危機を迎えた安倍首相は、どう乗り越えるのか。

週刊新潮WEB取材班

2020年2月29日掲載

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