【新型コロナ】安倍首相から“岩盤支持増”が離反 対応が後手で政権発足以来、最大の危機

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イベント自粛要請でも後手後手

 熊本地震は2016年4月に発生したが、安倍政権の支持率は上昇した。世論調査を実施した時事通信が5月13日、「内閣支持47・6%に上昇=不支持は3割切る-時事世論調査」と報じたのが一例だ。

 政治担当記者は「熊本地震の時とは異なり、今の安倍首相は四面楚歌という表現がぴったりです」と解説する。

「財界は『自粛ムードで消費が落ち込んでいる。何とかしてくれ』と矢のような催促です。一方、会社員は『満員電車での感染リスクが怖い。なぜ在宅勤務を政府は後押ししてくれないんだ』と不満の声が上がっています。2月27日に政府は『小中学校の臨時休校』を要請しましたが、これも賛否両論です。一般的に言って、専業主婦は対応が可能でしょうし、兼業主婦は子供の世話に困り果てるはずです。安倍政権が遅まきながら方針を打ち出しても、必ず正反対の賛否が沸き起こってしまうところに悩んでいるようです」

 諺にも「彼方(あちら)を立てれば此方(こちら)が立たず」とは言う。しかしながら、それを乗り越えてこそリーダーシップというものだろう。

「孫氏は『兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹(み)ざるなり』との言葉を残しています。『戦いは先手必勝、神速果断が重要であり、いたずらな慎重姿勢、対応の長期化は失敗を招く』という意味です。安倍首相が現在、これほどの四面楚歌に陥ったのは、対策が後手に回ったことが最大の原因です。それを教えてくれる名言でしょう」(同・政治担当記者)

 後手後手という批判をかわそうとしたら、更に後手という印象を与えたという事態も発生している。

 安倍首相が2月26日、大規模イベントを2週間、自粛するよう呼びかけたことは大きく報道された。

 PerfumeやEXILEが当日夜のコンサートを中止するなど影響も大きかったわけだが、前日の25日にまとめられた政府方針では「全国一律の自粛要請はしない」と決めていたのだ。

 毎日新聞が27日に報じた「新型肺炎:新型肺炎 政府一転、自粛呼びかけ 後手批判に危機感 大震災追悼式縮小へ」から引用させていただく。

《25日にまとめた政府基本方針では「全国一律の自粛要請」はせずに主催者に判断を委ねるとしていたが、感染が拡大する中で政府対応への「後手後手」との批判が出始めたことを意識し、一転して政治主導で判断したようだ》

《感染の拡大につれて内閣支持率が低下したことも考慮。政府関係者は「官邸主導で急きょ決まった。政権の危機感の表れだ」と指摘した。一方、国民民主党の玉木雄一郎代表は記者団に「最初からそう思っているなら(25日公表の)基本方針に書けばいい」と述べて批判した》

 25日の判断を慌てて26日に覆すことも、やはり同じように「後手後手」と形容せざるを得ない。こればかりは玉木代表の指摘が正論だろう。

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