中日・大物ルーキー「石川昂弥」  育成法を首脳陣に聞くと意外な答えが…

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 中日の大物ルーキー、ドラフト1位石川昂弥には“ホンモノ”の香りがする。

 2019年のドラフト会議でソフトバンク、オリックスが競合の末、中日が交渉権を獲得した。石川は、愛知・東邦高時代に投手、三塁手として活躍。昨年のセンバツでは、全5試合に登板、打っては3本塁打と大活躍をみせて、チームを30年ぶりの優勝に導いた。夏の甲子園の予選で敗退し、出場を逃したものの、U18W杯では日本代表の4番を任されて、勝負強さを発揮した。高校通算55本塁打の実力は、国際大会でも健在だった。

 キャンプは2軍スタートとなったが、185センチ95キロの大型内野手はプロへの適応もスムーズにできており、早くも1軍デビューが期待されている。中日の担当記者は「高校生離れした素材だ」としたうえで、以下のように分析している。

「高卒のルーキーは金属バットから木製バットへの対応に苦労するケースが多いのですが、石川は夏の甲子園予選で敗退した直後に木製バットで練習していたこともあってか、木製バットで打つことを苦にしていない。また、高卒ルーキーにしては身体もしっかりとしていて、下半身を使った打撃ができています」

 中日首脳陣は石川に大きな期待を寄せている。仁村徹2軍監督はキャンプ序盤に「どんな場面でも勝負。勝敗を背負うのが4番。そういう選手になってほしい」と語り、将来の中日打線で軸になる選手であることを強調している。

 波留敏夫2軍打撃コーチは、石川の育成法について、こう話す。

「今は何も言っていないですね。高校生とは思えない素晴らしい打撃を持っていますが、プロとしてはまた別の話。今後、必ず壁にぶつかるでしょうけど、本人に課題を見つけさせる。それからでないと、本人も聞く耳を持てないでしょう。まずは、実戦で自由に打たせて自分自身で気付かせる段階にあります」

 守備面でも石川の評価が高い。渡邉博幸2軍内野守備・走塁コーチは石川の守備について、以下のように見ている。

「ゴロ捕球時の“間合い”がいいですね。捕球する直前まで、球を見ることができているので、反応が良く、その後の送球動作も入りやすくなる。捕球直前の一瞬の間と、いうのかな。これは練習で覚えられるものではない。間が取れるというのは、天性のもの。だから、三塁だけでなく、(高い守備力が要求される)ショートもできるはず。守備だけでもすごい選手になれる可能性を秘めています」

 大型内野手といえば巨人・岡本和真の名前が浮かぶが、現時点でも負けないほど、石川にはポテンシャルを感じさせる。あとはプロでの実戦を重ね、多くの経験を積むだけだ。中日の関係者は明るい表情を浮かべて、こう話す。

「1軍のレギュラーは固まっているようにみえるが、石川にはそれを打ち破れる可能性を感じさせますね。ただ、中途半端に1軍で出場するようなら2軍でしっかりやらせたいところ。今年2年目を迎える根尾昂とともに、間違いなく、ドラゴンズの未来を背負って立つ選手です。石川は、よく言われるけどマイペースな性格も大物タイプ。でも、生意気ではなく素直でかわいいところがある。全国区のスターになれる素材だと思います」

 首脳陣は早期の一軍昇格を予定していたが、2月17日に左肩腱板炎と診断されて別メニューとなった。どうやら軽症だったようだが、一軍投手との対戦は先送りになってしまった。7年連続Bクラスに沈む中日。若手投手の台頭や“甲子園のスター”根尾や石川の加入で、ようやく明るい兆しも見えてきた。首脳陣がきちんと“将来の主砲”石川を育てることができるのか、今後の行方を注視していきたい。

週刊新潮WEB取材班

2020年2月24日掲載

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