松岡敬(同志社大学学長)【佐藤優の頂上対決/我々はどう生き残るか】

国内 社会 週刊新潮 2020年2月13日号掲載

  • ブックマーク

EUキャンパスで学ぶ

佐藤 この教育寮とともに大きな可能性を秘めていると思うのは、同志社のEUキャンパスです。

松岡 2017年にドイツのテュービンゲン大学の中に同志社のキャンパスを設けました。昨年の4月からは学生が向こうで講義を受け、単位も取っています。今年は、春と秋両方にプログラムを置いて、職員も派遣します。そこで異文化に触れて、現地の生活から何かを感じ取り、自身を成長させて戻ってきてほしい。

佐藤 ドイツというのがポイントです。日本と同じ第2次大戦の敗戦国ですから、ドイツ語は国連公用語ではない。だからドイツの学生は英語を学ばなくてはなりません。立場としては日本人と同じで、学んだ彼らの英語はわかりやすい。それに基本的にドイツは高等教育が無料です。

松岡 そうですね。

佐藤 さらに言えば、EUには「エラスムス・プログラム」という各国共通の共同教育プログラムがあって、大学生は国境を越えて各地の大学で授業を受けることができます。言葉は基本的に英語です。そうすると、例えば私が教える神学部では3年で全て単位を取ることができますから、1年間丸々EUキャンパスに行って、ヨーロッパ中の講義を受けることもできる。

松岡 「グローバル人材の育成」も大きな柱です。2025年に向けて学生全体の30%を留学生として送り出し、また13%を外国からの留学生にしようという目標があります。大学のカリキュラムが詰まりすぎていると外国に行けないので、どこかでゆとりを作ってあげることが必要になってくる。春の時間をもう少し使いやすくするとか、学年暦の改革を進めるとか。

佐藤 それは大学院改革にもつながる話ですね。ともかく今は学生が腰を落ち着けて勉強する時間が少なすぎる。

松岡 ええ。学部生を4年という時間軸で教育するのはあまりに短い。特に就職活動で、学ぶべき時間がどんどん消えてしまう。

佐藤 3年から就職活動して、それが終わったらもう勉強に打ち込むことはありませんから、学部では専門的な勉強は1年半くらいしかできませんよ。

松岡 自分が将来何をやるべきなのか、しっかりと見極めながら勉強していくには、学部3年、大学院3年制にして6年間、あるいはドクターまでいく9年間という時間軸が必要ではないかと思っています。ここを変えていくのも私の改革の一つの柱です。

佐藤 修士課程までやれば、実質4年半は専門的な勉強時間が確保できます。1年半から勉強時間が3倍になれば、アウトプットでは5、6倍の差が出てきますよ。

松岡 そうしたゆとりの中で、EUキャンパスに留学する時間も生まれるのではないかと思います。

次ページ:文理融合の重要性

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]