田嶋会長、関塚委員長は責任放棄? 森保監督がU-23代表との兼任は不可能な根拠

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「責任放棄」とも取られかねない発言

「1月に技術委員会はあるが、臨時にやることはない。それは田嶋会長とも話し合いました。まずは我々で精査したい。(解任はあるのかとの質問に)しっかりと、現場と我々の考えをすり合わせたい。この世代の経験値は絶対に上げられている。これを日本サッカーのために、W杯ベスト8と五輪のメダル獲得にどれだけアプローチできるか」

 だが1月31日が終わっても、技術委員会としての総括として関塚委員長からは何もコメントが出ていない。

 一方の田嶋会長は1月16日、続投を支持しながらも技術委員会の報告を待つ考えを示した。

「監督のところは、最終的にどうするかは会長に求められることはあるかもしれないですが、その前のところは技術委員会がしっかり話をして、技術委員長がどのように判断するかだと思っています。日本サッカーにとって一番いい形で森保監督をどうサポートするかを決断しないといけないかもしれない」

 責任ある立場にいる田嶋会長、関塚委員長の2人が、独断専行はせずに、それぞれの組織の判断を尊重した発言を行った。これはこれで正論だろう。しかし、見方によっては「責任放棄」とも取られかねない。だからこそファン・サポーターの怒りに油を注いだのではないだろうか。

 東京五輪まで残された時間は少ない。「森保監督は続投です」と明言すれば、ファン・サポーターから大きく批判されたかもしれない。だが、今とは違い、もっと実りある議論に発展していった可能性もあるのではないだろうか。

「東京五輪で森保ジャパンがメダルを獲れなかったら責任を取って辞めます」と田嶋会長や関塚技術委員長が言えば、誰もが納得しただろう。

 とはいえ、田嶋会長もJFA会長の3選を(3月の新理事会での承認が必要)目前にした微妙な立場にいるため、奥歯に物が挟まったような発言しかできなかったと推測される。

 最後に森保監督である。これまで近年の日本代表監督はハリルホジッチ氏、アギーレ氏、ザッケローニ氏など外国人監督が続いていた。

 彼らの発言力、発信力に比べて森保監督は、リップサービスがほとんどない。俗に言う「記事にしにくい」側面もある。それだけ正直な性格でもあるのだろう。

 そんな森保監督と、練習後に1対1で話をすることができた。13日、アルパイン・フットボールキャンプでの練習後のことだ。すでに夕闇が迫っていて、偶然にもサポーターが森保監督を激励するため20分近く話していたため、チームバスに乗り込む前に取材できたのだ。

 会見ではもっと思っていることを発信したほうがいい。試合中にメモを取っているが、選手に指示を出さないのはなぜか……などの疑問をぶつけた。

 U-23日本代表に関しては、この1年間は横内昭展監督代行(52)が指揮を取ってきた。しかしながら、あくまでも正式な U-23代表監督は森保監督だ。

 私は森保氏に対してU-23代表監督として質問を行い、森保監督もU-23代表の監督として私に返した答えは次のようなものだった。

「試合に負ければ監督が批判されるのは当然のことです。僕だって批判されれば胸が痛みます(と胸を押さえる)。だからといって、批判されないために勝つことばかり考えていては、選手を成長させることはできません。試合前に選手の立ち位置は決めます。しかし試合が始まれば、サッカーは選手が考えてプレーしなければならないスポーツです。そのためには自己判断や対応力が必要になります。批判はどんどんしてくれて結構です。そのことで僕も気づくことがあります。もしも自己保身に走るような状況になったら、僕は迷うことなく監督を辞めます」

 3月末には26日に豊田でW杯予選のミャンマー戦があり、翌日は京都でU-23の日本対南アの試合、そして30日は福岡で同じくU-23の日本対コートジボワール戦、31日はW杯予選のアウェー・モンゴル戦がある。どう考えても掛け持ちは不可能だ。果たして技術委員会はどうサポートするのかも注視したい。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年2月9日掲載

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