安倍総理が実名紹介「Iターン」農家男性が結婚して関東に戻っていた

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“東京から一番遠いまち”島根県江津(ごうつ)市に突如、注目が集まったのは、1月20日のことだった

「この日、安倍総理が施政方針演説で、パクチー栽培のため東京から江津市に移住した30代の男性を“地方創生”の成功例として実名で取り上げたんです。行政や企業がバックアップし、江津では転入が転出を上回る人口の“社会増”が実現できた、と総理は鼻高々だった」(政治部記者)

 ところが、演説の直後、この男性がすでに県外に転居していることが判明。さらに、

「総理は、江津へは東京から7時間かかると、その辺鄙さを強調していましたが、飛行機を使えば3時間半。内容が恣意的だと批判されたのです」

 とまれ、不祥事が続く中、“藁”ならぬ“パクチー”にもすがる思いの総理が頼った男性に何があったのか。

「3年半前に移住してきたこの男性から、江津を離れることになったと報告があったのは、昨年の12月頃でした」

 とは、地元の関係者。

「理由はずばり結婚。お相手が関東の方で、これを機に自分も帰ることにしたと」

 めでたい話だから引き止めはしなかったと話すこの関係者。ただ、その表情に口惜しさが残るのは、

「江津に根付いてもらいたくて、市が地元の女性を紹介しようと考えたこともあったんです。彼女がいるらしいという話になって、取りやめになりましたが……」

 事もあろうに、総理が紹介したパクチー農家のケースは“東京から一番遠いまち”に骨を埋めてもらう難しさを示す好例だったのだ。

 これには地元も呆れ果て、

「市サイドには、演説前にこの男性を紹介するとの相談はなかったといいます。江津には他にも起業のために移住してきた若者がたくさんいますし、どうして確認もせず、結婚で関東に戻った彼を実名で取り上げたのか。それに、パクチーだけではあまり儲からないらしく、最近はクレソン栽培に力を入れていたそう。まるでデタラメな演説になってしまいました」

 ほんの隠し味のつもりが、レシピ間違えて味が台なし。

週刊新潮 2020年2月6日号掲載

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