86歳でまた当選「9選町長」が老害批判に反論 新潟県出雲崎町

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 英断は時に拙速につながり、人気者が実は単なる大衆迎合の軽佻浮薄な人間だったりする。世の中全てはコインの裏表。「老害」も、その裏側を覗いてみると……。1月14日、新潟県出雲崎町で「新町長」が決まった。とはいえ、彼は御年86で連続9選。現役最高齢首長である上に、任期満了を迎える時には90歳になる。

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 日本海に面した人口約4300の出雲崎町。この小さな町で、「9選町長」こと小林則幸氏は昭和63年以来32年にもわたって町長の座に留まり続けてきた。奇しくも同月18日、共産党の不破哲三前議長が、89歳にして党の最高指導部である常任幹部会委員に再任され、

「未だに志位和夫委員長は不破さんに頭が上がらず、共産党の『実質的トップ』は不破さんのままだと見られています。本人もまだまだやる気で、党内では老害ここに極まれりと囁かれている」(共産党関係者)

 というから、小林氏が老害との謗(そし)りを受けても不思議ではないのである。

「私も、もし立場が違えば『86歳で9選だなんて町政に代わり映えがしない』と老害批判していたかもしれません。そう言う人たちの気持ちも分かるし、当然だと思います。しかし……」

 と、好々爺の顔つきながら、信念に基づいているのであろう強い口調で、小林氏が自身の「立ち位置」について説明を始める。

「86歳だけど膝が痛いとか腰が痛いとか全くない。体力には絶対の自信があります。50代に負けません。視力も問題ない。毎日、自分で車を運転して役場に通っているくらいです。ほら、あなた(記者)の名刺だって裸眼でちゃんと読める」

 毎朝、両手に各3キロのダンベルを持っての筋トレや、ラジオ体操を欠かさないという小林氏。確かに、ミカンを頬張りながら喋る彼の尋常ならざる肌ツヤは50代顔負けで、バリバリの「現役感」が漂う。また、

「あれ(かつての町長選にまつわる出来事)は昭和58年9月13日のことだった」

 といった具合に、記憶力の衰えも感じさせないのだ。

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