ゴーン逃亡劇に浮上した「大手芸能プロ」「中田英寿PR会社」の名

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3階の一室

 こんな一件も隠されていた。検察関係者が振り返る。

「昨年4月の保釈後、日産が警備会社に依頼し、麻布の制限住居でゴーンの動向を監視していました。一方、東京地検も人の出入りをチェックし、ゴーンと接触する人物を撮影して特定する作業を行っていた。その中で日本人の“協力者”らしき人物を把握したのです」

 この人物の直接的な役割は判明していないものの、

「日本人と接触したゴーンが、麻布からほど近い、渋谷区広尾の高級マンションに入る姿も確認済みです。マンションは一棟丸ごと、芸能事務所『渡辺プロダクション』の一族の所有物件でした」

 ゴーンが訪れたのはマンション3階の約80平方メートルの一室。この事実関係を、ナベプロの系列会社「ワタナベエンターテインメント」の吉田正樹会長に訊ねると、

「その部屋は外人の方がお住まいじゃないかな? そこにミスター・ゴーンが来たとか、彼に貸しているという事実もない。全くの誤解だと思いますよ。実際、彼とはこれまでお仕事をしたこともないし、プライベートでのお付き合いもない。面識がないんです。家族からも付き合いがあるなんて聞いたことはありません」

 当該の部屋は不動産会社を通じて賃貸に出され、外国人の表札が出ている。

「だから賃貸人の方が(ゴーンと)接点がある可能性までは否定しませんけれど、我々とは全く関係ない」

 もっとも、先の検察関係者はこう断言するのだ。

「問題の部屋にはゴーンの実姉や外国の大使館関係者も出入りしていた。ゴーンは、制限住居には当局の盗聴器が仕掛けられていると疑い、恐れていました。だから、犯罪に関わる話はできません。我々は、この広尾の部屋こそが、今回の逃亡事件の事前準備や打ち合わせなど謀議の場に利用されていた現場と確信しています。知らなかったとはいえ、結果的にナベプロ関係者が日本脱走に関わらされてしまったと言われても仕方ないでしょう」

 壮大な逃亡劇に浮上した大手の芸能プロとPR会社。奇妙な相関図と言う他ない。

週刊新潮 2020年1月23日号掲載

特集「『ゴーンvs.日本』九つの大罪」より

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